事前相談

消費者は、地域でよく知っている業者がいる場合は別として、家族が亡くなってあわてて業者選びをします。特に大都市の場合には、親戚・知人が紹介してくれた業者、病院から紹介された業者、たまたま近所にある業者、電話帳などで調べた業者に依頼するケースが少なくありません。

業者はサービスを提供し、消費者はそれを選んで依頼する、という通常では当然の消費行動がとられることが少ないのが葬祭業者選びです。これが消費者からさまざま不満が寄せられる原因の一つになっており、葬祭業者側にも責任があります。

求められれば事前に消費者に情報を開示して、選んでもらうことが必要です。納得して自分で選んだものであれば消費者も安心ですし、両者の間での齟齬も少なくなるでしょう。また、選ばれるに足るだけの業者になるという努力も必要となりますから、より消費者志向に自身を変えていくこともでき、経営体質も自ずと強化されていくことでしょう。

消費者は今、葬儀に関心を寄せるようになっています。「事前に葬儀のことを考えるなんて縁起でもない」という考えもまだ一部にはあるものの、近年その意識がこれからの葬祭業者には必要です。消費者が葬儀について知りたい事項は次のようなことです。

①葬儀の手順など一般的な知識

②葬儀費用(料金)について

③準備しておくべきこと

④心構え

地域共同体が葬儀の運営主体であったときには、地域ごとに葬儀の仕方が決まっていて、また手伝いの形で葬儀に参加する機会も多くありました。しかし、運営までを葬儀会社が請け負うことが一般的になると、手伝いも受付など限られたものになり、葬儀の仕方についての知識も乏しくなる傾向にあります。そのため実際に当面する立場になったとき、不安も大きくなります。「準備すべきこと」や「葬儀費用について」も関心が高く、「わからない」から「知りたい」となってます。

 

〇相談の実際

1.まず、どなた(本人のか、家族のか)のことについての相談かを明確にします。

2.わからないこと、知りたいことを明確にします。(知りたいことは複数事項におよぶことも少なくありません。)

※これによって以下が異なりますが、相手か、自分が知りたいのか明確には自覚していないケースがあるので、基本的事項を確かめていきます。

3.どんな葬儀をしたいかの希望を聞きます。(宗派なども確認)

4.葬儀の手順、方法を示します。(できればパンフレットのかたちで用意しておきます。)

5.先方の予算を確認します。

6.説明しながら、相手の希望する葬儀の内容をはっきりさせます。

7.見積をします。

8.相手に確認し、希望によって調整します。

9.遺族のする仕事、業者のする仕事を明確にします。(サービス範囲を示します。)

10.さらに知りたい内容について相談にのります。

 

〇相談で注意するべきこと

・発注の確約をとってから相談にのるのはまちがい

よく「依頼するかどうかわからないのに情報を提供することは競争相手に情報を流す心配もあるのでしない」というケースがあります。選ぶのは消費者ですから、消費者が複数業者を比較するのは当然の行為です。「これでよろしかったらお引き受けします」という態度で臨むべきでしょう。

・相手の心配、聞きたいことに耳を傾けます。

「知りたい」「相談したい」のですから、よく相手の言うことに耳を傾けます。

・地域の習慣や一般的な葬儀の仕方のみを示すのはまちがい。

相手の希望をよく聞いて相談にのるのが正しい態度です。地域の習慣、一般的な葬儀についての情報の提示は必要ですが、押しつけにならないよう注意しましょう。

・見積は数字をはっきり出します。

「大体このぐらいです」ではなく、きちんと数字を出して説明します。変動費についても予測数字を出して計算します。

〇事前相談から事前予約のプロセス

1.お客の希望を聞く。

2.お客の希望を質問カードに沿って書いてもらう。

3.お客の希望に対して提案書を提出し説明する。

4.お客の同意を得る。

5.見積書を正式に発行する。

6.葬儀内容と金額を記して予約証を2通作り両者で保有する。

但し、お客様からの解約は自由としておきます。

 

消費者は、応対してくれる人の態度を見ています。誠実に対応してくれそうか、信頼できそうかなどです。また、丁寧に対応してくれるかによって、丁寧な仕事をしてくれるかもみています。また、わかりやすい説明をしてくれるか、つまり消費者の目線で仕事をしてくれるか、価格・品質などきちんと提示してくれるか、数字をごまかさないか、なども見ています。事前相談は今後ますます増加する傾向にあります。また、ここでの対応いかんによって評判も違ってきますので、きちんと対応する必要があります。挨拶をきちんとし、相手の目を見て話し、話の要点はメモをとります。また、ここで相談した内容はファイルしておいて、実際の受注の際には参考資料として、ここでの約束事項はきちんと守ることが大切です。

上尾市 葬儀
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法要

日本人は死者供養を大切にしてきた民族であると言えます。歴史的には、中陰の七仏事(初七日、二七日、三七日、四七日、五七日、六七日、七七日)はインドに起源をもちます。中国に仏教が伝わり、百カ日、一周忌、三回忌(満2年)の三仏事が加わり十仏事となりました。さらに日本で七回忌、十三回忌、三十三回忌が加わり、十三仏事となり、近世に十七回忌、二十五回忌が加わり、十五仏事となりました。七回忌の後が十三回忌なのは七回忌の7年目であるため、それに引き続く十七回忌は7の数字がつくからと言われます。五十回忌以降、50年ごとに行われる法要を遠忌と言い、宗派の祖師の場合などに限って営まれます。

このほか、祥月命日(故人の命日)と月忌(月の命日)があります。また、お盆や春秋のお彼岸があります。遺された者が、生ある限り、亡くなった人のことを覚え、その生を大切にして、感謝して生きる、亡くなった人との関係をずっと維持しようとするのが日本人の特性の一つと言えるかもしれません。

ちなみに弔い上げは三十三回忌または五十回忌をもって行います。死者は個性を失い、祖霊(先祖)になる、「ホトケがカミになる」と考えられ、仏壇から位牌を片づけ、それ以降祀るのは「○○家先祖の霊」の位牌になります。

 

〇十王信仰

死者は7日ごと、百カ日、一周忌、三回忌に十王の審判を受けが、遺族の追善供養の力により地獄に落ちることを免れるという十王信仰があります。

初七日には泰広王(不動明王)の審判を受け、行方定まらないものは三途の川を渡り、二七日に初江王(釈迦如来)の審判を受け、ここでも定まらないと順に、三七日に宋帝王(文殊菩薩)、四七日に五官王(普賢菩薩)、七七日に泰山王(薬師如来)の審判を受けます。この王の下で地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六道のいずれか決定されるので、四十九日の追善供養は特にねんごろに行う必要があると説きます。

これでも行方が定まらないと百カ日に平等王(観世音菩薩)、ここでも定まらないと一周忌に都市王(勢至菩薩)の下に行くとされますが、これはひとえに遺族の追善供養のおかげで、一周忌の功徳により三回忌の五道転輪王(阿弥陀如来)に送られます。そして充分に追善供養をすれば成仏できるとしています。ちなみに七回忌は、阿閦如来、十三回忌は大日如来、三十三回忌が虚空蔵菩薩です。祥月、月忌が一般化したのは15世紀と言われます。

地獄に対する恐怖が追善供養を一般化することを促したことも事実ですが、時代が変わっても受け入れられているのは死者を覚えておきたいとする人々の想いと重なったからでしょう。

 

〇追善供養

追善供養、追善回向と言われるものは、仏教では直接故人に対してなすものではなく、遺族が仏に供養し、その善い行いや徳を故人に振り向けるという間接的な形をとります。

浄土真宗では故人のための追善を否定し、故人を偲び、これを縁として仏法を聞く場(聞法の場)として位置づけられます。

 

〇中 陰

古代インドでは人間は輪廻転生すると考えられていました。誕生の瞬間が生有、生きている間が本有、死の瞬間が死有、死んで次の生を得る間の期間を中有あるいは中陰と呼び、中有は49日間であるとされました。この間、7日ごとに法要を行い、七七日を満中陰と言います。この49日間は、死の穢れが強い時期ということで、遺族は祭などに出ることなく謹慎して家にこもります。これを「忌中」と言います。四十九日が過ぎるとしたがって「忌明」となり、日常生活に復帰しました。

この忌中も忌明も死穢観念から出ているものですが、一方では遺族にとっては精神的に打撃を受けている期間でもあります。そこで遺族が日常生活から離れて死者の弔いに専念し、次第に精神的傷を癒し、日常生活に復帰するプロセスでもあると考えることができます。

7日ごとに集まり法要することは、死者を弔うと同時に、周囲の人が遺族の悲しみを思いやることでもあったと思います。

忌明をもって本来は「精進落とし」となっていました。また、忌明で中陰壇を片づけますが、これを「壇ばらい」「壇引き」ともいいます。それまで使用していた白木の位牌は檀那寺へ返し、漆の塗位牌を作り仏壇に納めます。また神棚の白紙などを取り除き、神社へお参りすることを「晴詣り」と称して推奨されることがあります。

「忌中」に対し、「喪中」は1年間(13か月)を指します。中国の儒礼(儒教の儀礼)では三回忌を大祥忌といい、それをもって日常生活へ復帰していたように、死後1~2年の間は遺された者の死者への想いが息づいている期間でもあります。遺族の心理的なプロセスを考えると葬儀あるいは喪中は、一周忌または三回忌あたりまで続いていると理解してよいでしょう。

 

〇中陰の繰り方、法要の日の選定

中陰法要の日の数え方は、死んだ当日を入れて7日ずつ繰ります。したがって初七日は死後7日目にあたります。関東ではこの7日目ごとの当日に、関西ではその前日である「逮夜」に法要を営むことが多いようです。法事を営む日を変更する場合には、早い日を選ぶ傾向にあります。また、家族の年回忌が近いときには一緒に行うことがありますが、三回忌までは一緒に行わず、行うときには早いものに合わせて行いがちです。例えば、祖父の十三回忌が7月10日で、父親の七回忌が7月25日である場合、7月10日あるいはそれ以前の近い日を選ぶ傾向にあります。

〇法事の営み方

身内だけで営むときは電話連絡でもよいでしょうが、四十九日、一周忌、三回忌など、関係者に広く集まっていただくときには、案内状を出し、出欠の確認をします。場所は寺院、斎場、自宅、最近ではレストラン、ホテルとさまざまです。

自宅で行う場合、仏壇のお飾り(荘厳)をします。打敷を敷いて、五具足で行うのが正式とされています。香炉を中央にし、その左右に燭台、外側の左右に花立てを置きます。供物は仏飯、餅、菓子、果物などです。供える花は三回忌までは赤など華美な花は避け、ロウソクも白を原則とします。故人の位牌、過去帳を仏壇の最下段に安置します。参列者からの供物は、仏壇の両脇などに白布で覆った小机を用意し、そこに置きます。また焼香台を用意します。

先に関係者が着席し、僧侶を迎え、読経、焼香、法話が行われます。自宅で行うときに、家族が会食の準備をしていて席につかないことがありますが、本来はそろって勤めるものとされています。

法要が終わると、会食となりますが、これを「お斎(とき)」といいます。施主が挨拶し、食事となります。このとき僧侶を上席とし、家族は末席となります。お斎の食事は、肉食を避けて菜食の精進料理でしたが、現在ではあまりこだわらないとされています。参列者には帰りに引き物(お土産)を渡す習慣があります。

 

遺族は略礼服を着るのが一般的ですが、きちんとした服装であれば平服でもよいとされています。喪服は、遺族であっても一周忌あるいは三回忌までです。遺族以外の参加者は平服でかまいません。

参列者は供物や金銭のお供えをするのが一般的ですが、これには「御仏前」または「御香資(御香料)」などと記します。

僧侶が会食の席につかないときは、折り詰めにしてもちかえり願うか、代わりに「お膳料」を包みます。僧侶に法要を勤めていただいたのに対しては「お経料」と書かれる例も見られますが「お布施」が正しいとされます。

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葬儀後の会食

仏教式の葬儀では、収骨後自宅に戻り、遺骨を後飾り祭壇に安置して法要を営みます。これを「還骨回向」、または宗派により「還骨勤行」(浄土真宗)、「安位諷経」(曹洞宗)などと呼びます。(神葬祭では「帰家祭」)近年では、これに合わせて初七日の法要を繰り上げて行うのが一般的となっています。

 

火葬後、または葬儀・告別式の終了後に設ける宴席を、一般には「精進落とし」と言うことがあります。(浄土真宗では言いません)地方によって、「精進揚げ」「忌中祓い」「精進落ち」「お斎(とき)」「直会(なおらい)」「仕上げ」などとも呼ばれています。(関東では、通夜振る舞いなどを「お清め」と呼ぶことがありますが、死穢を祓い清めるという意味ですから、あまり適切な表現とはいえません)

「精進落とし」は、魚や肉などを食べずに精進した中陰の期間に区切りをつけ日常生活に戻ることであり、本来は四十九日の法要後のお斎の席に、肉や魚などの「なまぐさもの」が出されました。今では、死者との食い別れの宴席を設ける、葬儀後に手伝ってくれた人にお礼の振る舞いをすることから、葬儀・告別式後に行われるようになったものと思われます。この宴席のことを「初七日」と言うことがありますが、初七日法要を繰り上げて葬儀後に行うことから「初七日法要のお斎」が簡略化したものでしょう。

この宴席の意味は大きく2つあります。

1. 僧侶などの宗教者、手伝ってくれた方への感謝の席

2. 故人を偲んで食事をし、話をし、交わる席

地方によってさまざまな呼び方があるのも、どの意味を強調するかによって変わっているものと思われます。

このように、現在の宴席はいくつかの意味が合体または変容したものです。現代的な表現をとるなら「感謝の会(席)」「偲ぶ会」となるでしょう。

 

火葬場まで同行した人と手伝ってくれた人だけが席を囲む場合や、できるだけ多くの人に出てほしいと案内することもあります。(東北の一部では、通夜などのときに予め宴席に招待する人に名刺大の案内状を渡す)

数が見込めるときには弁当、見込めないときには大皿料理などとします。これは費用にも関係しますので、遺族の意向を予めたずねておきます。

一般には、宗教者の話、葬儀委員長など世話役の挨拶、喪主挨拶に続いて飲食に入りますが、決まった形は特にありません。宗教者を上席、遺族は末席に位置するのが一般的です。

 

地方により、宴席に出た人に「引き物」を渡すところもあります。料理などもつけることがありますが、予め品物や費用を明確にして準備する必要があります。また、葬儀・告別式・宴席の後、関係者に供花を自由にもちかえってもらうことがあります。

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葬儀・告別式

古くは、自宅での出棺の儀礼後、葬列(野辺の送り)を組んで葬場に行き、葬儀式を行い、火葬または土葬をしたというのが一般的であったと思われます。葬列がなくなって、自宅での儀礼と葬場での儀礼が一体化したことにより、現在の葬儀・告別式が誕生しました。

葬儀(葬儀式)は死者をこの世からあの世に引き渡す宗教的な儀礼であり、告別式は会葬者が遺族に慰めの言葉を寄せ、一人一人焼香または献花して死者に別れを告げる儀式です。したがって、葬儀式は宗教儀礼であり、告別式は社会儀礼であると位置づけることが可能でしょう。

ところが、現代にあっては参列者が忙しい、火葬の時刻が定まっているなどの理由から、葬儀式と告別式の同時進行が一般的となりました。葬儀式の最中に会葬者による告別の焼香が行われるようになり、告別式の位置づけが強まり、逆に葬儀式の位置づけは弱まる傾向にあります。社会儀礼としての告別式の位置が高まることにより、遺族が会葬者への答礼に忙しくしていることが多いことで、「何のための葬儀か」という批判も起きるようになっており、葬儀式と告別式のあり方については再考を要する時期にきています。葬儀式と告別式の機能の違いを充分に配慮したいものです。

そのなかで、大規模葬儀に見られる「密葬-本葬」方式、最近流行の「密葬-お別れ会(偲ぶ会)」方式は、機能から見れば葬儀式と告別式を分離して行おうとするものと理解できます。

 

〇葬儀・告別式の流れ

仏教式の葬儀・告別式の一般的な流れを以下に示します。

①一同着席

⓶導師入場・開式

③葬式作法(読経、引導)

④式辞・弔辞

⑤焼香・読経

⑥導師退場・閉式

⑦一同退場

➇お別れの儀※骨葬では行われません

⑨棺搬出※骨葬では行われません

⑩遺族代表挨拶

⑪出棺(霊柩車出発)※骨葬では遺骨の見送り

①~③(あるいは④)までが葬儀式部分、④(または⑤)~⑦が告別式部分です。葬儀式と告別式は多くの場合は同時並行で進行されがちです。③の儀式作法が行われている最中に時間節約のため焼香が行われることがありますが、できれば避けたいものです。④の式辞・弔辞は自宅葬などの場合には省略されることもあります。式辞は、弔詞、式文とも言いますが、葬儀委員長による故人への弔いの表明です。導師が式辞を述べる場合もあります。また、弔電が紹介されるのはこの後です。⑧のお別れの儀は、遺族・関係者が棺を開け、花などを入れるなどして遺体と最後のお別れをします。

⑩の遺族代表挨拶は、出棺を前にして会葬者にお礼の挨拶をすることです。すでに火葬を済ませている場合などには、遺族代表挨拶を⑤または⑥に引き続いて行い、遺骨退場を見送って散会することもあります。葬儀委員長による挨拶を遺族代表挨拶に代えるところもあります。

焼香は遺族焼香に引き続き参列者焼香、一般焼香の順に行います。遺族焼香、参列者焼香を指名で行うことがあり、これを「指名焼香」「呼名焼香」と言います。式場前に設けられた焼香所で開式前から一般焼香を受け付け、会葬者は焼香を終え次第、出棺を見送らずに帰路につく地域もあります。これは一般弔問を別に受け付けていると考えるのが適当でしょう。一般会葬者、火葬場まではいけない葬儀参列者は出棺の見送りまで行うのが一般的です。

開式に先立ち、または閉式後、僧侶、遺族が式場に入場(退場)する際に略式の葬列を組むことがあります。僧侶を先頭に位牌、柩または遺骨、遺族の順に入場(退場)するのが一般的です。

 

〇葬儀・告別式の準備

①受付の設定、門標、会葬御礼品(粗供養)、花環(または樒)や生花の準備をします。

⓶門前、式場、祭壇の掃除をします。

開式1時間半前までに①、⓶の作業を終えるようにします。

③遺族・関係者と最後の確認を行います。

1.当日の日程、時刻の確認

2.弔辞の確認

3.弔電の扱い方

4.焼香順位、名前を呼ぶ場合には肩書き、名前の読み方の確認

5.供物、供花の扱い方、配置順の確認

6.席順の確認

7.火葬場同行者の人数、車の確認

8.会葬礼状、会葬返礼品の内容、数の最終確認

9.役割の確認(会葬者への答礼、受付、案内、車、警備など)

10.葬儀後の会食の確認

11.その他(心づけの扱いなど)

④僧侶など式執行にあたる宗教者との打ち合わせを行います。

1.飾りつけの確認

2.式進行の確認

3.当日の日程表(時刻表)の確認

4.その他注意すべきことの確認

⑤式辞・弔辞を述べる人と打ち合わせします。

1.紹介する肩書き、名前の確認

2.時間の確認(1人が話す時間は3分が原則、400字詰め原稿用紙にすると2枚程度。前後の移動時間を入れると合計5分)

3.動線、動作の確認

⑥霊柩車、マイクロバス、ハイヤーの再確認を行います。

⑦料理の手配の再確認をします。

⑧音響装置その他の設備の確認をします。

⑨現場の点検を行い、準備に問題がないか最終確認をします。

1.計画通りに準備ができているか

2.天候などの関係で補う点はないか

3.危惧される点がないか

 

供花は、全国的には花環または生花、中部・関西地方などでは花環の代わりに樒(しきみ/しきび)が用いられます。関係者から供花の申し出がありますが、この扱いについては事前の確認が必要です。供花や供物を辞退するという遺族もいますから、供花をそもそも受け付けるのか、受けた場合の生花の種類、贈り手の名前の表示など、事前に確認しておく必要があります。式場によっては置き場所の制限もあります。

生花や花環などの供花の配列順はしばしば問題になります。勝手に判断しないで遺族の考えに従って行うことが必要です。最近では、芳名板にアイウエオ順で贈った人の名を一括して提示する方法がとられることもあります。また、生花代金を祭壇や式場内外の装飾花の作成費用にあて、供花してくれた人の名は芳名板に一括して記す方法を採用することもあります。

最近は、生花祭壇のデザインはもとより供花の生花のデザインに対しても消費者の感覚が鋭くなってきています。葬祭業者および協力する生花業者はデザインの研鑚に励む必要があります。「なまもの」の樒や生花は売り切りですが、花環は造花ですから、最近は売り切りではなくレンタルが多くなっています。

 

戦後、高度経済成長の波に合わせるように葬儀・告別式の演出も多様に行われるようになり、またそれに対して消費者や宗教者からさまざまな意見が出るようになりました。

音楽の使用は一般化しています。開式前、弔辞や一般焼香の場面、出棺などで使用され、専用のCDも販売されています。また、故人の人となりを知らせるために、ナレーションテープやビデオも使用されます。故人の趣味である詩歌、音曲の使用を希望されることもあります。柩退場時にスモークや照明を用いる、出棺の際に鳩を飛ばす、など演出方法も多彩です。葬儀の演出については、さまざまな考えがあります。けっして押しつけるのではなく、よく説明し、遺族の意見、寺院等の意見をよく聞いたうえで行う必要があります。特に葬儀式は宗教儀礼として厳粛に行う必要があり、寺院等の意見を必ず聴取する必要があります。

 

出棺に先立って、遺族・関係者による遺体との最後の対面が行われます。この場面は最後の別れのときであり、遺族の愛惜の気持ちが露出し、動揺するときですから、その気持ちに配慮して慎重に対応しなければなりません。急がせられたという印象を与えないように注意する必要があると同時に、切り上げる時を明確にする必要もあります。

棺にいれる生花は「別れ花」とも言われます。通常は飾られていた生花を入れやすいように小さく分け、おぼんに載せて準備し、係員が遺族・関係者に手渡しします。

棺の蓋をした後、釘打ちをすることがあります。昔は蓋が外れて遺体が外に出ないように縄で縛りましたが、いつの頃からか蓋を釘で止め、それに遺族が参加して小石で釘を打つという習俗ができました。死霊が外に出ないように封じるという死霊に対する恐怖感のなせるものであったと同時に、また、石には呪力があると信じられたことから死者を悪霊から守るために行うとも考えられています。遺族自ら釘を打つことで死者の蘇生を断念するという意味もあったでしょう。しかし、遺族の心理を考えると釘打ちをすべきでないとする意見もあります。釘打ちをする場合には、葬祭業者がまず金槌で半分打ち、その後遺族が血縁の順に小石で軽く2回ずつ打ち、最後に業者が金槌で封じるのが一般的です。

 

葬儀・告別式の後に出棺して火葬するという順番が一般的ですが、葬儀・告別式に先立って火葬する習慣の地域もあります。東北地方を中心にして全国各地に散在しています。葬儀・告別式に先立って火葬することを「骨葬」と称しています。

骨葬地域では、本通夜に先立って火葬する地域もあります。午前中に出棺して火葬に付し、午後から葬儀・告別式を行い、その後菩提寺に行き納骨(埋骨)するのが一般的ですが、葬儀・告別式で遺体との別れができないから変えようという動きがあったり、遺族の考えも変わる要素になります。

また、山梨や長野の骨葬地域の一部では、葬儀式に先立って一般会葬者による告別式が行われることがあります。これは一般会葬者を待たせないこと、葬儀式の参列者は終了後ほぼ全員が法要とその後の会食(お斎)に向かうという実用性から生まれたものです。

 

出棺の際、遺族代表による挨拶が行われます。一部の地域において、葬祭業者が挨拶を代行しその泣かせる技を競ったこともありましたが、望ましいことではありません。喪主あるいは遺族の一員に、短くとも自分の言葉で挨拶するようアドバイスするのがよいでしょう。 出棺の際に位牌を手にするのは伝統的に喪主の役割とされています。

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幕張

葬儀での幕には、葬儀があることを告知することと、式場を作り上げるという目的があり、さらに室内の不都合な物などを隠すことに使用されます。

伝統的に、葬儀の告知(家の外部)には鯨幕が使用され、式場を作る(式場内周囲)には白幕が用いられています。但し、室内で鯨幕を使用する例も多く見られます。また、鯨幕は黒白が一般的でしたが、近年では地方により青白も見受けられるようになっています。

幕を張る位置については、画鋲の使用もあり、事前に遺族に確認をとる必要があります。近年の建物および建材によっては、画鋲がきかないことも多く、木材などによる下地作りから始める場合もあります。打ち合わせの段階で設営作業見取り図を準備しておくと、必要な材料の手配までスムーズに進みます。

〇鯨幕

一般に面積があり、重いため、しっかりと留める必要があります。張った後に、平行、直角に張られているか、縦縞が垂直になっているか点検します。

〇白幕

式場となる部屋の全面に張りめぐらす場合と、祭壇の周囲を張りめぐらす場合があります。式場を他の空間と区別して儀礼を行うにふさわしい場所として荘厳(お飾り)する一環として行われます。

具体的には次のことに注意します。

1. 幕の上部、下部が平行に張られること

2. 弛み緩み、引っ張りすぎがなく張られること

3. 角に隙間ができないようにすること

4. 継ぎ目には充分な重ね代をとること

5. ひだをとる場合は間隔を揃えること

6. ひだが左右で揃っていること

7. 画鋲が外から見えないこと

8. 画鋲が外れないようにすること

〇水引幕

祭壇の前部の中央にあたる位置に水引幕を張ります。水引幕には家紋を入れることもよく行われます。現在では幕も装飾性と個性化が進み、ひだ幕、ぼかし染め幕などが使用されています。また材質の違いでは、レース、金蘭、沙(しゃ)などを使った幕もあります。

 

式場としてふさわしい空間を作るための工夫ですから、設営する葬祭業者の独りよがりではなく、個々の葬儀空間としてふさわしいものになっているか、全体との調和が図られているか、などの点に常に注意します。

 

幕は基本として真ん中から左右に張り進めます。幕には縦ひだ張りと横ひだ張りがあります。これに対して、平面的に張るものを「平幕」と呼びます。横ひだ張りでは、平幕の約3倍の量の幕が必要です。縦ひだ張りは、横ひだ張りよりさらに立体的な仕上がりとなり、装飾性が強調されますが、時間も幕の量もより多く必要です。縦ひだ張りは、円筒、二重円筒、半円筒などが組み合わされ水引幕の代わりにされます。横ひだ張りは、祭壇の背幕や脇幕として使用される例が多いようです。

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枕経、遺体処理、納棺

 

〇枕経

起源は中世の浄土教の時代の、誦経(ずきょう)・念仏した臨終行儀にあるといわれており、亡くなったらできるだけ早く檀那寺(真宗ではお手次寺)に連絡して僧侶にきていただき、枕飾りのできたところで読経していただきます。この時、喪服ではなく、通常の衣服を整えて出ればよいとされます。

宗派により考え方が異なりますが、故人に対して読経してきかせる、または仏壇の内仏あるいは本尊に向かって読経するという考え方があります。既に戒名(法名、法号)をいただいているときは申し出、そうでないときは個人の人柄などを話しておきます。

最近では、通夜のときに枕経をあげることも少なくありませんが、本来は死亡直後につとめます。キリスト教の場合には、危篤、臨終のときから神父または牧師が立ち会うことが原則になっています。

 

〇遺体処置

一般的には、枕経の後納棺します。遺族によっては、一晩は自宅の布団に寝かせて、翌日に納棺を希望する場合もありますが、遺体の状況や天候により、翌日までのばすことが可能か適切に判断するようにします。

納棺に先立ち、湯灌、死化粧、遺体衛生保全(エンバーミング)などの遺体処理を施すことがあります。

 

〇湯灌

湯灌は、①昔ながらの湯灌、⓶湯灌業者による湯灌があります。

①昔ながらの湯灌

たらいに水を入れ、それにお湯を注ぎ、遺体を洗浄します。水にお湯を足すという、通常とは逆の方法で温度調節をするので、「逆さ水」と呼ばれますが、最近では病院で死後の処置がなされてくることが一般的になったため、行われることが少なくなりました。

⓶湯灌業者による湯灌

車に浴槽を積み込み、自宅を訪問して、あるいは民間斎場内の湯灌室にて湯灌のサービスを行います。一定の儀礼形式を踏み、布で遺体を隠し、シャワーで遺体を洗浄して、着替え、化粧までを施すものです。

しかし、湯かんを行う人の健康の問題や浴槽の水の廃棄処理の問題など、公衆衛生上の配慮が必要です。また、内容の説明、料金の明示と遺族の同意は必要条件です。

 

〇エンバ―ミング(遺体衛生保全)

エンバ―ミングは、北米では南北戦争(1865年)のときに戦死者を遠隔の故郷に遺体のまま移送する必要性から一挙に普及し、現在では約9割の遺体に施されています。また、北欧・英国でも約7割に施されるなど国際的に一般的な遺体処理の方法です。

体内を固定して殺菌して公衆衛生上安全な状態にすると共に腐敗を止める、顔などを整え修復することなどから、特に事故・災害遺体や解剖後の遺体の修復においては必要性の認識が高まっています。

但し、遺族に対して処置内容を説明して同意書を得ること、尊厳とプライバシーに配慮した処置、必要な訓練課程を修了した技術者による処置が必要とされており、さらに廃液処理においても地方自治体への届出義務があります。

日本ではI F S A(日本遺体衛生保全協会)が自主基準を作成し、エンバ―ミング施設を厚生労働省などへ届け出て行うことを取り決めています。本格的なエンバ―ミングは1988年に開始され、年々増加の傾向にあります。

 

処置の概要は次の通りです。

➊脱衣

全身を確認し、損傷部位がないかを調べます。

❷消毒・洗浄

全身をスプレーで殺菌し、洗浄、洗髪します。

❸口腔などの殺菌

❹髭剃り

❺顔の処置

口を縫合し、閉じて形を整え、目にアイキャップを挿入し、形を整えるなどして顔を整えます。

❻動脈・静脈の剖出と注入管・排出管の連結

皮膚を小切開し、体表近くの動脈と同部位の静脈を剖出。動脈にエンバ―ミングマシーンに繋がる注入管を連結、静脈には排出管を連結します。

❼防腐前液の注入と血液の排出

❽防腐固定液の注入

メチルアルコール、ホルマリンなどからなる防腐固定液を全身をマッサージしながら全身に行き渡らせるように注入します。この薬剤には色素などが配合され遺体の表情に赤みを与えます。

❾体腔への防腐液の注入

体腔の一部を小切開し、内容物を排出し、防腐液を注入します。

❿切開部の縫合

⓫全身の洗浄

⓬修復

修復を必要とする部位の修復をします。

⓭着衣・化粧

遺族の希望する服を着せ、化粧を施します。

 

〇その他の遺体処理

「納棺師」「死化粧」などと言われる遺体処理を専門とする業者が出現しています。病院による死後の処理をより本格的にした処置まで施すことにより、それぞれ評価を高めていますが、作業を行う人たちに公衆衛生上の教育、廃水の処理などが課題となります。

一般的に葬祭業者が行う遺体処理は次のものです。

1. 搬送後の遺体の乱れを修復する。特に血液や体液の漏出に注意し、ゴム手袋を着用する。

2. 軽く顔などの表面を消毒用アルコールで拭く。

3. 着替えを行うか、上から死装束を被せる。

 

〇死装束

かつて故人に着せる死装束は、故人とゆかりのある女性の手によって、糸尻を止めずに縫われました。僧や巡礼者の姿になぞらえ、白木綿に経文を記した、明衣、浄衣とも言われる経帷子(きょうかたびら)です。

経帷子を左前に着せ、三角頭巾を額にあて、手甲をつけ、脚絆を巻いて、白足袋に草履を履かせ、六文銭を入れた頭陀袋を首にかけ、杖を手にし、という西方浄土に旅立つ旅姿をとります。浄土真宗系では冥途の旅を否定しますので、こうした服装はせず、白衣や遺族心づくしの晴れ着を着せます。そして胸に組んだ両手には木製の念珠(数珠)をかけます。最近では、本格的な経帷子の使用が少しずつ減少する傾向にあります。

 

〇納棺

湯かんなどの遺体処理、着替え、納棺は一連の作業として行われることが一般的で、遺族や親しい人にてつだってもらって行います。指輪や装身具は、後から紛失したなどの問題が生じないよう、遺族立ち会いの下で外します。副葬品については、火葬の際に、

1. 爆発のおそれのあるもの

2. 燃えないもの

3. 遺骨を傷つけたり着色するおそれのあるもの は避けることをアドバイスします。

具体的には、ペースメーカー(病院で除去してもらいます)ガスライターなどの爆発のおそれのあるもの、メガネや酒の瓶などのガラス製品、金属でできた釣り竿やゴルフクラブ、金属製の仏具などです。

また、ゴルフボールは炉の中で回って遺骨を傷つけるおそれがあります。

 

〇ドライアイス

エンバ―ミング(遺体衛生保全)した遺体の場合には不要ですが、一般的には腐敗の進行を遅延させるためにドライアイスを入れます。胃や腸の腐敗は早く、腐敗ガスを発生させますから、胸から腹部が中心で、喉元(側頭部)と下腹部がポイントになります。夏場や脳溢血のときなどは量を増やして使用することがあります。ドライアイスは遺族にとって気持ちのいいものではありませんので、目に触れないように処置します。

また、ドライアイスは二酸化炭素を排出するので、搬送時には車内の換気に注意しましょう。また、出棺の際にはドライアイスを除去します。最近の斎場では、冷蔵庫による保管も多くなっています。

 

〇遺体取り扱いの公衆衛生上の配慮

湯灌、納棺などの遺体処理、取り扱いの際には、安全のための対策を軽視してはなりません。素手で作業することが遺体を大切に扱っていることになるという誤った考えは、まだまだ多いようですが、これでは感染するおそれがあります。むしろ衛生上の配慮をきちんとして作業にあたることが専門家として正しいあり方です。

遺体処置にあたっては少なくとも使い捨てマスク、使い捨てビニール手袋は必ず使用します。取り扱い後にはうがいをし、流水で手をよく洗い、消毒用アルコールで消毒します。

 

〇遺体の変化

➊死斑

心臓が停止して血液の流れが止まると、血管内の血液は下のほうに集まります。上になった部分の皮膚は蒼白になり、下になった部分の皮下の静脈には血液が溜まっていきます。 この溜まった血液の色が皮膚を通して見えるのが死斑です。死亡後20~30分で点状の斑点が出現し、死亡後2~3時間で斑点が融合します。死後10時間くらいまでは死斑は固定しませんが、20時間以上経過すると固定します。

❷死後硬直

死後2時間くらい経過すると、筋肉内のグリコーゲンの減少と乳酸の増加に伴ってアデノシン三リン酸(ATP)が減少します。この化学反応のため次第に筋肉が硬化し、関節が動かなくなる現象が死後硬直です。

死後2時間くらいで顎関節に現れ、順次全身の筋肉および、6~8時間で手足の筋肉に明確に認められるようになります。8~10時間くらいまでは、筋肉に力を加えて伸ばすと柔らかくなり、再び硬直を起こします。死後およそ20時間で硬直は最も強くなります。その後は腐敗が強まるため、死後硬直は次第に溶けていきます。

❸腐敗

遺体の腐敗は消化器系である胃や腸から始まります。

死後1時間内外で腸内細菌の増殖が認められます。また、死亡すると胃酸や腸の消化液が胃腸そのものを溶かし、酵素による自家融解を起こします。

腸内細菌の繁殖と胃腸の融解によって腐敗が進行し、腐敗ガスが発生します。この腐敗ガス中に含まれる硫化水素が血液中のヘモグロビンと結合して硫化ヘモグロビンが作られると、腹部が淡青藍色に変色します。この変色が全身に波及し、さらに腐敗ガスが発生すると、全身が膨らんでいきます。腐敗が進行すると、全身は次第に暗赤褐色に変色し、膨らんだ死体は巨人のような外観を呈します。さらに腐敗が進行すると乾燥し、体表は黒色に変色し、体の組織は腐敗汁を出して融解し始め、遂には骨が露出されます。上尾市 葬儀
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枕飾り

神棚には白紙(白い半紙)を貼る習慣が多く見られます。これは神道が穢れを避けることから、死穢が神棚におよばないようにということで行い、忌みがかかっていない他人に頼んでやってもらうこととされ、忌明け後に取り除きます。仏壇の扉は開けておくのが基本とされています。

〇守り刀

遺体の枕元あるいは遺体の上に守り刀、刃物を置く習慣があります。

死者が武士の場合に枕元に刀を置いた名残であるとか、魔除けや死霊に対する鎮魂のため、死者の魂が持ち去られることを防ぐためなど、さまざまな言い伝えがあります。このため遺体の上に置く場合でも刃先を足の方向にするか、直角に置くか、など地方により異なります。浄土真宗系では使用しません。

〇逆さ屏風

古くからの習俗で、遺体の周囲に屏風を上下逆にして立てることです。死の世界は日常の世界とは逆であるとの考えから、上下を逆にすると言われます。屛風をめぐらすのは、遺体を悪霊から守るため、あるいは死霊が周囲の人におよばないように、など土地により相反する言い伝えがあります。

〇枕飾り

遺体の枕元に、上に白布を敷いた小机か、白木の台を用いて荘厳(=お飾り)します。枕飾りのときに置く仏具は、宗教や土地により異なります。一般的には三具足を供えます。香炉を中央に、遺体に向かって右側に燭台を置き、左側に花立てを配します。香炉には線香を1本立て、燭台には白い一本ロウソク、花立てには一本樒を飾ることが一般的です。これらは1本が原則とされます。供え物には、浄水、枕団子(三方に白紙を敷いて6個の団子を載せる)、枕飯(一善飯、故人愛用の茶碗に丸く山盛りにして箸を1本立てる)などがあります。

浄土真宗系の場合には、遺体に供えるものでなく不要とされますし、線香を立てないで適当な長さに折った線香に火をつけ香炉に横に寝かせる、遺体を仏壇の近くに安置し、前卓に白の打敷を敷いて、樒を立て、灯明をあげ、香を焚くなどの荘厳をします。

枕団子や枕飯などの食べ物を供えるのは、諸説ありますが、霊魂が善光寺参りをするための弁当であるなどと言われており、亡くなったらすぐ作るものとされています。また、香やロウソクの火は消さないようにするものとも言われています。

〇四華

四華は四華花、死華、四花、紙花などと書き、シカ、シカバナといわれます。釈尊の死を悲しんで、沙羅双樹林が白変し、その遺体を覆ったとする故事に基づくとされています。

一般的には、白紙を細長く切り、横に細かい刻み目を入れて、細い棒に螺旋状に巻き付け、4本を一つの台に挿して、2台を一組とします。地方により作り方が異なります。

〇忌中札

玄関に「忌中」と書いた札を揚げることもあります。死穢を他におよぼさないように告知し、遺族は死の穢れに染まっているのでこもっていることを知らせることからきたものです。現在では死者の出た家であることを告知するという現実的な意味が強くなりました。

さまざまな形式がありますが、簾を裏返しにして垂らし、その上に「忌中」と書いた紙を貼ることもあります。昔の死穢観念の名残であるとして用いないこともあります。

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見積

基本方針を基に、必要に応じて提案書を作成します。相手の意向を充分に組み込み、同時に相手の予算を満足させるように作成します。提案書は、一般的な個人葬の場合には、遺族の目の前で一つ一つ提案しながら作成していくことが多いですが、口頭で説明して理解できないものについては、写真を示したりするなど、理解を得ながら進める必要があります。その場で満足した提案ができないときには、当面の措置をしておいて、時間をもらい、改めて作成・提出するのが望ましいことです。

 

費用の見積の際には、寺院費用なども含めた遺族側の総予算を念頭に入れ、そのうえで無理のない金額にまとめなければなりません。

また、施行費用の他に遺族が頭に入れておくべき費用(寺院費用、飲食接待費用など)について充分な情報提供をしておく必要があります。

 

見積には、基本セット料金方式と積み上げ方式とがあります。

1.パンフレットまたは写真など内容が理解できるものを用いて説明して理解を得ます。

2.セット方式では、セットに含まれるものとそうでないものとを明確に区分します。

3.セット内の一部を取り替える場合、削除する場合の措置を説明します。(棺だけを取り替える場合、差額請求方式か、セットをもちいられないかなど)

4.セットに追加すべきものがあるときの措置を説明します。(追加用の単価×数=追加料金、など)

5.セットにない物品やサービスを選択するときの条件を示します。

6.施行料金には含まれない立替料金について説明します。(霊柩車、火葬、マイクロバス、式場使用料、など)

7.合計費用を計算し、提示します。(セット料金方式の場合でも、追加その他の費用を併せて計算し、必ず合計費用の見積書を提示)

8.見込み予算との関係を調整します。

9.寺院関係費用など、その他の費用との関係を調整します。

 

見積書を作成し、遺族側の了解が得られたら、請書を発行します。

請書は見積書と複写方式にしておき、業者の記名と押印、遺族側の記名(押印)をしておきます。これを交換することにより、業務委託契約の証とします。

このとき、後の精算の際にトラブルが起きないよう、物品やサービスの追加・変更の要請があったときの措置を決定しておきます。

また、遺族側との日常的なつき合いから信頼関係ができていて、遺族から「任せる」と言われた場合でも、万が一トラブルがあった場合に困ることになりますので、業者の責任として見積書の作成、請書の作成は必ず行います。

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打合せ

打ち合わせに入る前には挨拶し、名刺を出してきちんと名乗る必要があります。その上で、打合せをする相手が誰か、故人との関係もきちんと確認する必要があります。決定権のない人と打ち合わせをして、後から行き違いがあってはいけません。また、相談する相手は1人とは限りません。場合によっては僧侶、牧師といった宗教者を交えて行うことのほうがいいこともあります。信頼できる第三者を加える場合もありますので、遺族の状況を判断し、相手の意思を充分にくみ取って決めるべきでしょう。

 

「喪主」と「施主」は一般的には葬儀を主宰する人という意味で同じように用いられますが、厳密には異なります。

施主は布施する人ということから転じたと言われ、葬儀の金銭面の負担もして運営の責任を負う人です。戸主が亡くなり跡継ぎの長男が未成年のとき、叔父が後見人となり運営の責任を負うなどの場合、長男が喪主、叔父が施主になります。社葬の場合には、喪主は遺族で、施主が企業になります。

喪主を誰にするかは、戦後の民法の改正により、家の祭祀権を承継する者と遺産の相続とは分離されたため、本人が祭祀主宰者を指定すれば誰でもよいことになりました。そこで、故人が指名した人がいないかを確認しておきます。

もし本人が指名した人がいない場合には、世帯主以外が死亡したときには世帯主、世帯主が死亡したときはその配偶者または子どもとするのが一般的です。まれに複数(配偶者と長男、子どもたち等)が共同で喪主を務めることもあります。

 

打ち合わせになると、すぐ祭壇の大きさや費用の見積に入るケースが少なくありませんが、まず遺族の葬儀に対する思いを聞き取ることが重要になります。故人はどういう人だったのか、葬儀に対して言い遺しておいたことはないのか、故人に対する遺族の想いなど、にまず耳を傾けることが必要です。遺族は精神的な衝撃を受けていることが少なくないため、その想いを相手に吐き出させることが、心の傷の癒しにとっても重要なことなのです。「打ち合わせの場は最初のカウンセリングの場」という考え方もあるほどです。

葬儀の施行を引き受けるにしても、遺族の想いを充分に理解し、遺族の想いに耳を傾けて、初めて葬儀の相談に入ることが可能となるのです。

 

遺族にすれば葬儀の経験はあまりないのが一般的です。業者には、消費者契約法により説明責任・情報提供責任が課せられています。注意すべきことは、選択し決定するのは遺族の権利だということです。アメリカでは、消費者保護のため、料金の提示をする際どれにするかを勧めてはならないと法律で定められています。

日本の消費者契約法においても、消費者の主体的な選択・同意が条件になっています。葬祭業者には、遺族が主体的に選択・決定できるだけの情報を消費者の目線で提供する責務があるということです。

 

葬儀を考える際に、最も重視すべきことは「故人中心」ということです。送る者が故人に想いを集中することが良い葬儀を実現するポイントになるのです。ですから、故人が生前言っていたこと、書き残したことなど、故人の考えを中心に進めたとき、葬儀もうまくいくケースが多いようです。最近では自分の葬儀の仕方について、生前予約まではいかないにしても、生前に本人が希望を表明するケースが多くなっています。

 

見積もりに入る前に、相互の考え方にくいちがいが生じないように「基本方針」を確認することが必要です。葬儀業者も、遺族の考え方や意向を理解することができます。

「基本方針」は記録しながら進めます。決して「急がせられた」「押しつけられた」と相手が感じないように、要領よく進めながらも理解を得ながら、遺族があくまで選択・決定する形で行います。生前予約、企業・団体契約、互助会掛金などについては、事前に確認し、その扱い方法を選択してもらいます。

 

「基本方針」の内容は、

①宗教

故人の信仰を最優先し、特にない場合には檀那寺に依頼するか、あるいは特定宗派によらない方式(無宗教)で行うか、または適当な宗教に依頼するかを決めます。

檀那寺に依頼したいが遠方のときは、まず檀那寺に連絡して別の寺院の紹介を受け、その紹介を得られないとき、同じ宗派の寺院を斡旋するという手順で進めます。

葬祭業者は、紹介依頼を受ければお手伝いするが、基本的には遺族が責任を負うべき問題とする姿勢が必要です。その際は遺族のためになる信頼できる寺院・教会を紹介するよう努める必要があります。

⓶方式

個人葬か社葬・団体葬か、会社・団体や町内会などとの関わりをどうするか、身内だけの密葬にするか、改めて本葬あるいは偲ぶ会のようなものをするのかなどを決めます。

③式場

会葬者の予測人数、葬儀の方式などを考慮し、自宅や寺院でするか、民間斎場や火葬場付設の式場、集会所を利用するかなど検討し、遺族の希望を確認します。

④日程

寺院などの都合、家族・親族への連絡や集合の都合、地域社会での行事の都合(祭などとぶつからないか)、式場や火葬場の都合などを考慮して決めます。葬儀期間中の日程表(時刻表)を別にパソコン等で作成し、遺族・関係者に渡しておくようにします。

⑤告知

町内会への連絡、企業・団体への連絡、新聞広告の有無などを確認します。

⑥接待

通夜振る舞い、火葬場での茶菓子、料理、供養品、香典返し、など参列者、会葬者への接待方法、数量を確認します。

⑦設営

祭壇、式場設営などについての希望を確認します。彫刻祭壇、脇生花、生花祭壇、オリジナル祭壇など基本的な希望を確認します。また、写真を用いてのメモリアル(思い出)コーナーのようなものを設営するか、ビデオ放映するか、なども確認します。

➇予算

香典を受け取るか、考えている予算の範囲、その予算には寺院関係費用、接待関係費用も含むかなど確認します。

⑨希望

遺族の側に特別な希望や心配事がないかを確認します。

⑩優先順位

予算その他により、希望が満たされないことが明らかなときは、それを指摘して、どれを優先して考えるべきかの判断を求めます。

⑪役割

受付、接待、その他、町内会、企業などの役割を確認します。

⑫その他

遺影写真、家紋(必要なとき)礼状の作り方などを確認します。

 

最後に基本方針の確認を行います。記録したものを改めて読み上げて確認をとります。

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在家葬法の原型

〇禅苑清規

現在の仏教葬儀は、浄土真宗系を除いて、死者に仏教の戒律を授ける受戒や引導が中心となっていますが、その儀礼の原型は禅宗(曹洞宗)にあると言われています。仏教葬儀は、インドでは火葬の際に、『無常経』をあげる程度でしたが、中国に入ると儒教の葬送儀礼の影響を受けて儀礼を整えていきます。特にその影響を強く受けたのが禅宗で、1103年に書かれた『禅苑清規』が葬送儀礼の原型と言われます。

〇尊宿喪儀法と亡僧喪儀法

禅宗の葬儀は、出家である僧侶の葬儀の仕方を定めた尊宿喪儀法と修行の途中に亡くなった僧に対する葬儀の仕方を定めた亡僧喪儀法の2つに分かれていました。 尊宿喪儀法は亡くなった僧侶とその弟子たちに弔意を表すことが中心で、亡僧喪儀法は死に臨む修行途中の僧侶の心中を察して、仏法の真理を伝授しようとする願いが中心だったようです。 この亡僧喪儀法が、浄土教や密教の影響を受けて念仏や往生祈願なども採り入れ、発展して武士や在家の儀法(檀信徒喪儀法)になりました。

〇在家の葬法

在家の葬法は亡僧喪儀法から発展して制度化されたものですから、死者にお経を読んで仏の覚りを得させ、僧にする印として剃髪し、戒名を授けます。そして引導を渡して成仏させるのです。これは死後に僧侶にするので「没後作僧」と呼ばれます。現在の仏教儀法の原型はここにあります。

〇龕堂(がんどう)での仏事が葬儀式の原型か

当時は、龕堂と火葬場(墓所)の2ヵ所で仏事が行われたようです。「龕」とは棺または棺を納める容器のことで、龕堂は柩を安置する所を指します。お寺や自宅、あるいは当時火葬場である火屋と向かい合う形で龕前堂(今で言う斎場、葬儀式場のようなもの)が作られました。この龕堂での仏事が今の葬儀式に発展したものと思われます。

〇禅宗の葬儀の次第

遺体を湯灌し、剃髪し、清浄な新しい着物に着替えさせ、龕(桶の形をした棺)に納めて、袈裟などで覆います。この覆いは現在の棺覆いの元と思われます。龕前には卓を置き、それに白打敷をかけ、卓上に花、香炉、燭台のいわゆる三具足を並べ、その他故人愛用の道具を並べます。これは現在の枕飾りであり、祭壇の原型になったものです。 龕前の準備が整ったところで一同が集まり仏事を行います。僧侶が法語を唱え、焼香し、茶湯を献じ、読経、回向と続きます。

〇白幕と掛真

ここで葬儀の設営と関係して注目されるのは龕を移した部屋の周囲に白幕を張りめぐらしたことです。また、龕を閉じた後、掛真(けしん)の儀式があります。これは個人の肖像画を須弥壇の上に飾ることですが、今の遺影写真を見る感じがします。

〇葬送と火葬

火葬(埋葬)の当日には起龕と読経、つまり出棺の儀礼を行い、葬列を組んで火葬場(墓所)に向かいます。そして火葬場で仏事を行って荼毘に付します。翌朝、火葬場に赴き拾骨をし、遺骨を寺または自宅に安置して安位仏事を行います。これは現在でも火葬後に遺骨を安置して法要を営むことにつながっています。

禅宗では本来、龕前、移龕、鎖龕、起龕、火葬(埋葬)と、遺体を移動させたり遺体に対して所作を行うごとに仏事を重ねることになっていましたが、次第に簡略化されて、自宅と火屋(あるいは墓所)での仏事のみとなっていきます。

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