遺言

「遺言」は通常「ゆいごん」と読みますが、法律的には「いごん」と言います。自らの財産などを自らの死後どうするかについて、生前定めておくことを言います。

遺言と似たものに「遺書」がありますが、法律的には効力をもちません。これに対し遺言は、有効となる内容と形式が全て法律で定められているものです。

遺言として法的に有効なのは、主として財産に関する事項ですが、その他、相続人を廃除したり、子の認知をしたり、未成年者である子の後見人、後見監督人を定めたり、遺言の執行者を定めたり、祭祀承継者を指定したりすることもできます。「葬儀はこのようにしてほしい」などと遺言に書いても法律的には無効ですが、遺言自体が無効になるわけではありません。

遺言できる人は満15歳以上で(民法第961条)、また、夫婦など複数の者が同一内容の遺言を同一証書ですることはできません。(民法第975条、共同遺言の禁止)。

 

〇遺言の方式

遺言の方式には「普通方式」と「特別方式」があります。

「普通方式」には、自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類があります。(民法第967条)。

「特別方式」は、普通方式の遺言がかなわない特別な状況でなされる遺言で、死亡危急者の遺言、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言、の4種類があります。(第976~979条)これら以外の方式によるものは遺言として認められません。

 

〇普通方式の遺言

❶自筆証書遺言

遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を全て自書し、印鑑を押したもので、追加、削除、変更の方式も定められています。(民法第968条)特別な費用もかからず、最も簡単な方式ですが、法律の専門家でない場合には不備や不完全である心配もあります。実際、遺言の効力や本人の直筆かどうかは裁判で争われることもあり、確実性の点で問題があります。自筆が条件ですから、ワープロで書かれたものや、コピーは無効とされます。

自筆証書遺言は、死後に家庭裁判所による検認を受ける必要があります。また、封印のある場合は家庭裁判所で開封する必要があります。(民法第1004条)。

❷公正証書遺言

最も安全、確実な遺言の方式です。公証人が遺言者の口述に基づき公正証書として作成するものです。証人2人以上の立ち会いが必要です。(民法第969条)。

公証人に支払う手数料が必要ですが、専門家が作成するので無効のおそれがなく、原本が公証人役場に保管され、家庭裁判所による検認の必要もありません。

❸秘密証書遺言

公正証書遺言は公証人、証人の前で遺言内容を明らかにするものですが、秘密証書は、遺言内容は秘密にしたまま、その封印したものを公証人、2人以上の証人の前に提出し、自己の遺言書であることを証明してもらうものです。(民法第970条)

遺言証書の全文を自書する必要はなく、ワープロでもかまいません。但し、署名し、印鑑を押し、同じ印鑑で封印します。文章の追加、変更、削除は、定められた方式によります。死後、家庭裁判所で開封、検認を受ける必要があります。

 

以下のものは、あくまで遺言者が普通方式の遺言が不可能な、特別な状況にあるときだけに認められる遺言の方法で、遺言者が普通方式の遺言が可能になり6ヶ月生存したときには無効となります(民法第983条)。

 

〇特別方式の遺言

①死亡危急者の遺言

病気などにより死亡間近に迫った者が遺言しようとするとき、証人3人以上の前で口述し、証人の一人が筆記して各証人が承認して著名し印鑑を押したものです。遺言の日から20日以内に家庭裁判所に提出し、家庭裁判所が遺言者本人の真意であると確認しないと効力をもちません(民法第976条)。

②伝染病隔離者の遺言

伝染病のため隔離されて交通が絶たれ、人の行き来のできない場所にいるとき、警察官一人、証人1人以上の立ち会いで遺言書を作成することができます(民法第977条)。

※伝染病以外の理由で行政処分が行われた場合(例えば刑務所内にある者)も同様であると解されています。

③在船者の遺言

船舶中にある者は、船長または事務員1人、証人2人以上の立ち会いで遺言書を作成できます(民法第978条)。

④船舶遭難者の遺言

船舶遭難の場合、船舶中で死亡の危険が迫った者は証人2人以上の立ち会いのもと口頭で遺言できます。但し、証人はこれを筆記、署名、印鑑を押し、家庭裁判所の確認を得ないと効力をもちません(民法第979条)

 

〇遺言の効力と取り消し

遺言の効力と取り消しについて、主なものを記します。

1.遺言は、遺言者が死亡した時点から効力を発揮します(民法第985条)。

2.受遺者(遺産を贈られる人)は、遺贈(死後贈られる財産)を放棄することができますが、催告期間内に承認、放棄の意思表示をしないときは承認したとみなされます。また、いったん承認または放棄したものを取り消すことはできません(民法第986~989条)。

3.遺言者は、いつでも、遺言によって、前の遺言の全部または一部を取り消すことができます(民法第1022条)。

4.前の遺言と内容が重なったり、矛盾するなど抵触する遺言があったときは、後の遺言によって前の遺言が取り消されたものとみなされます(民法第1023条)。また、遺言書を自分の意思で破棄したり、遺贈の目的物を破棄、処分したときも、その部分の遺言を取り消したとみなされます(民法第1024条)

 

〇遺留分

例えば、遺言書に配偶者はあるが、子供も親も兄弟もいないとき、法定の相続人は配偶者1人です。この遺言者に愛人がいて、財産を全て愛人に遺贈すると遺言書に書いたとします。この場合、配偶者が異議を唱えなければ、愛人に財産が全て遺贈されますが、配偶者が異議を唱えれば、財産の半分が相続できます。このように一定の相続人が一定の割合で必ず相続できるように定められたものを「遺留分」と言います。

遺留分は、相続人が親(=直系尊属)だけの場合は3分の1、配偶者や子供の場合は2分の1です。兄弟姉妹には遺留分がありません(民法第1028条)。

相続人が配偶者1人だけのとき、遺言がなければ配偶者が100%相続しますが、前の例の場合は、その2分の1しか請求できません。この遺留分を請求することを「遺贈、贈与の減殺の請求」と言い、相続の開始(死亡時)あるいは減殺すべき贈与または遺贈の事実を知ったときから1年以内に行わない場合、または相続の開始から10年経過すると時効になり、権利は消滅します(民法第1042条)。

つまり遺言者は、相続人が兄弟だけの場合には遺言で全財産を自由に遺贈することを決定でき、相続人が親だけの場合には財産の3分の2について自由に決定でき、相続人が配偶者と子供のときは財産の2分の1について自由に決定できます。

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香典

「香典」はかつて「香奠」と書きました。「香を供える」という意味です。これから転じて、香を買う代金である「香典」「香資」「香料」になりました。仏教民俗学者は、墓に香花(=樒)をささげた、また宗教学者は、六種供養(仏を供養する華・塗香・水・焼香・灯明・飲食の6種)に由来する、と説明しています。

農村部において香奠とは、長い間、米などの食料をもちよることでした。その後、都市では明治期に金銭香奠が一般的になりましたが、地方では大正期あるいは昭和初期からのことです。戦前までは米などの食料香奠で、貨幣経済が発達するようになって、金銭香奠が一般的になりました。

 

〇香典の意味

食料香奠の由来は、仏教的には、香が「仏の食べ物」という意味から転じて「食料」になったものとも考えられますが、現実的には葬儀で食事の振る舞いが盛んにおこなわれたことに求められます。葬家では死者の成仏を願い、滅罪するための布施として、人々に食事を振る舞いました。現在でも「ホトケの供養になるから」と食事の席に連なることが求められるのはこのためです。

振る舞いのための食料を用意する必要から、親族は多量の食料を提供しました。これが「親族香奠」です。親族香奠は、故人との血縁の親疎に比例して出したと説明されています。

また、近隣の人々は自分たちの食する分をもちよりました。これが「村香奠」です。現在でも、親族の香典は多額で、近隣の人々の香典は、多大な労力を提供していたぶん少額なのが一般的です。

葬儀を出すと近隣に人々に振る舞いをしなければなりませんでしたが、これは多額な出費となりました。喪家やその遺族の負担は大きく、貧しい家では「葬儀を出せない」という事態もでて、香奠はそうした状況に対応する総合扶助としての意味ももっていました。

今でも地方の古い家には、前の自分の家で葬儀があったときにその家が出してくれた香典と同等のお金をおくるということがおこなわれており、これは地域社会におけるギリ(義理)の1つであり、義理を返すことは総合扶助精神の表れでもあったのです。

 

〇香典の「相場」

太平洋戦争の敗戦直後は社会が経済的に疲弊していたこともあって、葬儀の香典および香典返しは経済的負担が大きいと批判され、新生活運動が引き起こされる原因ともなりました。今でも、近隣の人は一律500円とか、1,000円などと取り決めているところがあります。また地域の慣習によってことなりますが、香典には、取り決めまではなくても、一般的な「相場」が存在します。例えば、それは次のようなものです。

バブル期には、この香典相場が跳ね上がるとともに、その幅も大きくなりました。その結果、今では相場は次のようになっています。

・近隣の人     3,000円~5,000円

・一般の会葬者   5,000円~10,000円

・関係者      10,000円~30,000円

・親族など     10,000円~50,000円

・家族       50,000円~100,000円

かつては、仏事には偶数は使わないといわれたこともありました。しかし、1万円の次が3万円では上がり幅がおおきいということで2万円という額も出現しています。また、「香典の相場は結婚披露宴のお祝いの半額」との俗説もあります。これは、披露宴では食事や引き物が出るが葬儀では焼香するだけだから、というのが理由になっているようです。しかし、東北地方などでは葬儀・告別式後の精進落とし(お斎)に招待されている人は20,000円~30,000円の香典を包むものとされているところもあります。

各種調査によると、香典の平均金額は現在、約7,000円といわれています。

 

〇香典の上書き

仏教葬儀の場合、四十九日までは「御仏前」と書くのが正しいとされ、極端にはどの宗教でも葬儀の香典は「御霊前」と書いてよい、との説明がされることが多いようですが、これは俗説で、誤りです。

浄土真宗では亡くなった方は即浄土に往生したのであり、「霊」はみとめていませんので「御霊前」は用いません。また、「特にこだわらない」とするものの、曹洞宗などの禅宗では教義に「浄土」はありませんので「成仏以前」という考え方もなく、「御仏前」とするのが一般的です。死者に香典をだすのではなく「本尊である仏様に捧げる」という意味であるなら「御仏前」になります。

キリスト教でもカトリックは「御霊前」を許容していますが、プロテスタントでは否定しています。

こうしたことから言えば、「御香奠(香典)」「五香資」「御香料」は中立的な表現になります。また、キリスト教で、「お花料」、神道で「御玉串料」「御榊料」とするのは、「御香料」などと同じ使い方です。しかし、会葬者の立場に立つと、かならずしも葬家の宗教・宗派を理解したうえで会葬するとは限りませんので、自らの宗旨で上書きを選択してもよいでしょう。

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火葬

火葬場に到着したら、クラクションを鳴らし到着を知らせます。マイクロバスその他の乗員を案内して車から降ろした後、火葬場内で柩を載せる台車の到着を確認し、一礼して霊柩車のドアを開け、柩を丁重に台車に載せ、所定の場所に案内します。

炉前あるいは告別ホールで僧侶による読経に続いて焼香が行われます。この場合、一般に小机に位牌と遺影を載せ、火葬場が用意する香炉、燭台を使用します。(火葬場によっては読経などが行われないところがあります)

遺族は遺体が焼却されるということで精神的に極めてナーバスになっていますから、配慮が必要です。

火葬時間は早いところで40分程度から2時間程度までと火葬場によって幅があります。

控室にて待機している人に対して、火葬時間の短いところではお茶、長いところでは弁当を供することがあります。

 

遺体を火葬(「荼毘」といいます)した後の拾骨を骨上げ、収骨とも言います。遺族による拾骨は日本独特の儀礼と言われ、欧米では骨の原型がのこらない骨灰になるのに対し、日本では形がきれいに残るように焼くことが大切とされています。

拾骨は、昔は1人が箸でもった遺骨を順に次の人に渡していく形だったようですが、現在では2人で一組になって遺骨をひろいます。地域によっては組み合わせの違う(竹と木)2本の箸を使って1人でひろう、また、男性が左、女性が右に箸をもち、組になって拾骨するところもあります。

「箸渡し」は「箸」と「橋」の音が共通なところから、故人をこの世からあの世へ、三途の川の渡しをしてあげるという思いからきていると言われています。

拾骨は関東など全部の遺骨を拾骨するところと、関西など「喉仏」(白骨とも言う。実際は第二頸椎)や歯骨など一部拾骨するところなど地方差があります。全部拾骨の場合には、足、腕から順に頭部まで拾い、最後に喉仏(白骨)を拾います。分骨するか否かは事前に申し受けておいて、必要な場合には分骨容器を用意しておきます。分骨証明となる火葬証明書も発行を受けておきます。

 

骨壺は各種ありますが、最近では生前に自分の希望する骨壺を用意する考えも出てきています。全部拾骨か部分拾骨か、または分骨する場合で容器の大きさが異なります。拾骨後、骨壷は桐箱に入れて白布に包み、分骨容器は錦袋に入れて遺族に引き渡すのが一般的です。

遺骨の墓地への納骨(埋骨)には火葬・埋葬許可証が必要なため、火葬済の証印のついた許可証をわすれないように骨箱に入れて渡す配慮が一般的に行われています。なお、火葬場に行くときに火葬・埋葬許可証の持参を遺族が忘れることがあります。出棺前に必ず確認するようにします。

 

火葬場からの帰路は往路と道を変えるという習俗があります。死霊が追いかけてきても迷って道がわからないように、との名残と言われています。最近は気にする人が少なくなり、行われないことが多いのですが、同乗者に特別気にする人がいる場合には配慮します。

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出棺

出棺する際、マンションなどで階段を使うときには、危険ですので葬祭業者が安全に注意して階下まで運ぶようにします。一般には霊柩車に搬入するまでの柩の運搬は、故人と関係の深かった若い男性の手で行います。最近では台車を用意して、遺族の女性、子どもでも運べるよう配慮しているケースも見られます。

 

自宅からの出棺の場合、古くからの習俗として、玄関からではなく窓や縁側などから出したり、仮門を設けてそこから棺を出すことがあります。死霊が再び家に戻ることのないようにとの気持ちの現れであるとか、死は非日常的の事柄であり日常とは逆のことをするので、通常の出入口である玄関は用いないなどと説明されています。

また、出棺にあたって故人が生前使っていた茶碗を割ることがあります。これも死霊が再び戻らないようにするため、またはこの世とは逆のあの世で使用できるようにするなどと説明されています。

 

出棺に先立ち、集まってきた人に供養品を配ったり、撒いたりする習慣もあります。このほかさまざまな習慣として、子どもが親より先に死んだ場合には「逆縁」だからと親は火葬場に行かない、配偶者が亡くなった場合に再婚の意思ある女性は火葬場に行かないなど、各地での言い伝えがあります。但しこれらの言い伝えは必ずしも正しいものばかりとは限りません。特に子どもを亡くした親が火葬場にいかないというのは、悲嘆にくれる親を苦しませないための配慮でしょうが、むしろその心の傷を大きくすることもあり、精神医学的にまちがった考えとされています。

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葬儀・告別式

古くは、自宅での出棺の儀礼後、葬列(野辺の送り)を組んで葬場に行き、葬儀式を行い、火葬または土葬をしたというのが一般的であったと思われます。葬列がなくなって、自宅での儀礼と葬場での儀礼が一体化したことにより、現在の葬儀・告別式が誕生しました。

葬儀(葬儀式)は死者をこの世からあの世に引き渡す宗教的な儀礼であり、告別式は会葬者が遺族に慰めの言葉を寄せ、一人一人焼香または献花して死者に別れを告げる儀式です。したがって、葬儀式は宗教儀礼であり、告別式は社会儀礼であると位置づけることが可能でしょう。

ところが、現代にあっては参列者が忙しい、火葬の時刻が定まっているなどの理由から、葬儀式と告別式の同時進行が一般的となりました。葬儀式の最中に会葬者による告別の焼香が行われるようになり、告別式の位置づけが強まり、逆に葬儀式の位置づけは弱まる傾向にあります。社会儀礼としての告別式の位置が高まることにより、遺族が会葬者への答礼に忙しくしていることが多いことで、「何のための葬儀か」という批判も起きるようになっており、葬儀式と告別式のあり方については再考を要する時期にきています。葬儀式と告別式の機能の違いを充分に配慮したいものです。

そのなかで、大規模葬儀に見られる「密葬-本葬」方式、最近流行の「密葬-お別れ会(偲ぶ会)」方式は、機能から見れば葬儀式と告別式を分離して行おうとするものと理解できます。

 

〇葬儀・告別式の流れ

仏教式の葬儀・告別式の一般的な流れを以下に示します。

①一同着席

⓶導師入場・開式

③葬式作法(読経、引導)

④式辞・弔辞

⑤焼香・読経

⑥導師退場・閉式

⑦一同退場

➇お別れの儀※骨葬では行われません

⑨棺搬出※骨葬では行われません

⑩遺族代表挨拶

⑪出棺(霊柩車出発)※骨葬では遺骨の見送り

①~③(あるいは④)までが葬儀式部分、④(または⑤)~⑦が告別式部分です。葬儀式と告別式は多くの場合は同時並行で進行されがちです。③の儀式作法が行われている最中に時間節約のため焼香が行われることがありますが、できれば避けたいものです。④の式辞・弔辞は自宅葬などの場合には省略されることもあります。式辞は、弔詞、式文とも言いますが、葬儀委員長による故人への弔いの表明です。導師が式辞を述べる場合もあります。また、弔電が紹介されるのはこの後です。⑧のお別れの儀は、遺族・関係者が棺を開け、花などを入れるなどして遺体と最後のお別れをします。

⑩の遺族代表挨拶は、出棺を前にして会葬者にお礼の挨拶をすることです。すでに火葬を済ませている場合などには、遺族代表挨拶を⑤または⑥に引き続いて行い、遺骨退場を見送って散会することもあります。葬儀委員長による挨拶を遺族代表挨拶に代えるところもあります。

焼香は遺族焼香に引き続き参列者焼香、一般焼香の順に行います。遺族焼香、参列者焼香を指名で行うことがあり、これを「指名焼香」「呼名焼香」と言います。式場前に設けられた焼香所で開式前から一般焼香を受け付け、会葬者は焼香を終え次第、出棺を見送らずに帰路につく地域もあります。これは一般弔問を別に受け付けていると考えるのが適当でしょう。一般会葬者、火葬場まではいけない葬儀参列者は出棺の見送りまで行うのが一般的です。

開式に先立ち、または閉式後、僧侶、遺族が式場に入場(退場)する際に略式の葬列を組むことがあります。僧侶を先頭に位牌、柩または遺骨、遺族の順に入場(退場)するのが一般的です。

 

〇葬儀・告別式の準備

①受付の設定、門標、会葬御礼品(粗供養)、花環(または樒)や生花の準備をします。

⓶門前、式場、祭壇の掃除をします。

開式1時間半前までに①、⓶の作業を終えるようにします。

③遺族・関係者と最後の確認を行います。

1.当日の日程、時刻の確認

2.弔辞の確認

3.弔電の扱い方

4.焼香順位、名前を呼ぶ場合には肩書き、名前の読み方の確認

5.供物、供花の扱い方、配置順の確認

6.席順の確認

7.火葬場同行者の人数、車の確認

8.会葬礼状、会葬返礼品の内容、数の最終確認

9.役割の確認(会葬者への答礼、受付、案内、車、警備など)

10.葬儀後の会食の確認

11.その他(心づけの扱いなど)

④僧侶など式執行にあたる宗教者との打ち合わせを行います。

1.飾りつけの確認

2.式進行の確認

3.当日の日程表(時刻表)の確認

4.その他注意すべきことの確認

⑤式辞・弔辞を述べる人と打ち合わせします。

1.紹介する肩書き、名前の確認

2.時間の確認(1人が話す時間は3分が原則、400字詰め原稿用紙にすると2枚程度。前後の移動時間を入れると合計5分)

3.動線、動作の確認

⑥霊柩車、マイクロバス、ハイヤーの再確認を行います。

⑦料理の手配の再確認をします。

⑧音響装置その他の設備の確認をします。

⑨現場の点検を行い、準備に問題がないか最終確認をします。

1.計画通りに準備ができているか

2.天候などの関係で補う点はないか

3.危惧される点がないか

 

供花は、全国的には花環または生花、中部・関西地方などでは花環の代わりに樒(しきみ/しきび)が用いられます。関係者から供花の申し出がありますが、この扱いについては事前の確認が必要です。供花や供物を辞退するという遺族もいますから、供花をそもそも受け付けるのか、受けた場合の生花の種類、贈り手の名前の表示など、事前に確認しておく必要があります。式場によっては置き場所の制限もあります。

生花や花環などの供花の配列順はしばしば問題になります。勝手に判断しないで遺族の考えに従って行うことが必要です。最近では、芳名板にアイウエオ順で贈った人の名を一括して提示する方法がとられることもあります。また、生花代金を祭壇や式場内外の装飾花の作成費用にあて、供花してくれた人の名は芳名板に一括して記す方法を採用することもあります。

最近は、生花祭壇のデザインはもとより供花の生花のデザインに対しても消費者の感覚が鋭くなってきています。葬祭業者および協力する生花業者はデザインの研鑚に励む必要があります。「なまもの」の樒や生花は売り切りですが、花環は造花ですから、最近は売り切りではなくレンタルが多くなっています。

 

戦後、高度経済成長の波に合わせるように葬儀・告別式の演出も多様に行われるようになり、またそれに対して消費者や宗教者からさまざまな意見が出るようになりました。

音楽の使用は一般化しています。開式前、弔辞や一般焼香の場面、出棺などで使用され、専用のCDも販売されています。また、故人の人となりを知らせるために、ナレーションテープやビデオも使用されます。故人の趣味である詩歌、音曲の使用を希望されることもあります。柩退場時にスモークや照明を用いる、出棺の際に鳩を飛ばす、など演出方法も多彩です。葬儀の演出については、さまざまな考えがあります。けっして押しつけるのではなく、よく説明し、遺族の意見、寺院等の意見をよく聞いたうえで行う必要があります。特に葬儀式は宗教儀礼として厳粛に行う必要があり、寺院等の意見を必ず聴取する必要があります。

 

出棺に先立って、遺族・関係者による遺体との最後の対面が行われます。この場面は最後の別れのときであり、遺族の愛惜の気持ちが露出し、動揺するときですから、その気持ちに配慮して慎重に対応しなければなりません。急がせられたという印象を与えないように注意する必要があると同時に、切り上げる時を明確にする必要もあります。

棺にいれる生花は「別れ花」とも言われます。通常は飾られていた生花を入れやすいように小さく分け、おぼんに載せて準備し、係員が遺族・関係者に手渡しします。

棺の蓋をした後、釘打ちをすることがあります。昔は蓋が外れて遺体が外に出ないように縄で縛りましたが、いつの頃からか蓋を釘で止め、それに遺族が参加して小石で釘を打つという習俗ができました。死霊が外に出ないように封じるという死霊に対する恐怖感のなせるものであったと同時に、また、石には呪力があると信じられたことから死者を悪霊から守るために行うとも考えられています。遺族自ら釘を打つことで死者の蘇生を断念するという意味もあったでしょう。しかし、遺族の心理を考えると釘打ちをすべきでないとする意見もあります。釘打ちをする場合には、葬祭業者がまず金槌で半分打ち、その後遺族が血縁の順に小石で軽く2回ずつ打ち、最後に業者が金槌で封じるのが一般的です。

 

葬儀・告別式の後に出棺して火葬するという順番が一般的ですが、葬儀・告別式に先立って火葬する習慣の地域もあります。東北地方を中心にして全国各地に散在しています。葬儀・告別式に先立って火葬することを「骨葬」と称しています。

骨葬地域では、本通夜に先立って火葬する地域もあります。午前中に出棺して火葬に付し、午後から葬儀・告別式を行い、その後菩提寺に行き納骨(埋骨)するのが一般的ですが、葬儀・告別式で遺体との別れができないから変えようという動きがあったり、遺族の考えも変わる要素になります。

また、山梨や長野の骨葬地域の一部では、葬儀式に先立って一般会葬者による告別式が行われることがあります。これは一般会葬者を待たせないこと、葬儀式の参列者は終了後ほぼ全員が法要とその後の会食(お斎)に向かうという実用性から生まれたものです。

 

出棺の際、遺族代表による挨拶が行われます。一部の地域において、葬祭業者が挨拶を代行しその泣かせる技を競ったこともありましたが、望ましいことではありません。喪主あるいは遺族の一員に、短くとも自分の言葉で挨拶するようアドバイスするのがよいでしょう。 出棺の際に位牌を手にするのは伝統的に喪主の役割とされています。

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幕張

葬儀での幕には、葬儀があることを告知することと、式場を作り上げるという目的があり、さらに室内の不都合な物などを隠すことに使用されます。

伝統的に、葬儀の告知(家の外部)には鯨幕が使用され、式場を作る(式場内周囲)には白幕が用いられています。但し、室内で鯨幕を使用する例も多く見られます。また、鯨幕は黒白が一般的でしたが、近年では地方により青白も見受けられるようになっています。

幕を張る位置については、画鋲の使用もあり、事前に遺族に確認をとる必要があります。近年の建物および建材によっては、画鋲がきかないことも多く、木材などによる下地作りから始める場合もあります。打ち合わせの段階で設営作業見取り図を準備しておくと、必要な材料の手配までスムーズに進みます。

〇鯨幕

一般に面積があり、重いため、しっかりと留める必要があります。張った後に、平行、直角に張られているか、縦縞が垂直になっているか点検します。

〇白幕

式場となる部屋の全面に張りめぐらす場合と、祭壇の周囲を張りめぐらす場合があります。式場を他の空間と区別して儀礼を行うにふさわしい場所として荘厳(お飾り)する一環として行われます。

具体的には次のことに注意します。

1. 幕の上部、下部が平行に張られること

2. 弛み緩み、引っ張りすぎがなく張られること

3. 角に隙間ができないようにすること

4. 継ぎ目には充分な重ね代をとること

5. ひだをとる場合は間隔を揃えること

6. ひだが左右で揃っていること

7. 画鋲が外から見えないこと

8. 画鋲が外れないようにすること

〇水引幕

祭壇の前部の中央にあたる位置に水引幕を張ります。水引幕には家紋を入れることもよく行われます。現在では幕も装飾性と個性化が進み、ひだ幕、ぼかし染め幕などが使用されています。また材質の違いでは、レース、金蘭、沙(しゃ)などを使った幕もあります。

 

式場としてふさわしい空間を作るための工夫ですから、設営する葬祭業者の独りよがりではなく、個々の葬儀空間としてふさわしいものになっているか、全体との調和が図られているか、などの点に常に注意します。

 

幕は基本として真ん中から左右に張り進めます。幕には縦ひだ張りと横ひだ張りがあります。これに対して、平面的に張るものを「平幕」と呼びます。横ひだ張りでは、平幕の約3倍の量の幕が必要です。縦ひだ張りは、横ひだ張りよりさらに立体的な仕上がりとなり、装飾性が強調されますが、時間も幕の量もより多く必要です。縦ひだ張りは、円筒、二重円筒、半円筒などが組み合わされ水引幕の代わりにされます。横ひだ張りは、祭壇の背幕や脇幕として使用される例が多いようです。

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枕経、遺体処理、納棺

 

〇枕経

起源は中世の浄土教の時代の、誦経(ずきょう)・念仏した臨終行儀にあるといわれており、亡くなったらできるだけ早く檀那寺(真宗ではお手次寺)に連絡して僧侶にきていただき、枕飾りのできたところで読経していただきます。この時、喪服ではなく、通常の衣服を整えて出ればよいとされます。

宗派により考え方が異なりますが、故人に対して読経してきかせる、または仏壇の内仏あるいは本尊に向かって読経するという考え方があります。既に戒名(法名、法号)をいただいているときは申し出、そうでないときは個人の人柄などを話しておきます。

最近では、通夜のときに枕経をあげることも少なくありませんが、本来は死亡直後につとめます。キリスト教の場合には、危篤、臨終のときから神父または牧師が立ち会うことが原則になっています。

 

〇遺体処置

一般的には、枕経の後納棺します。遺族によっては、一晩は自宅の布団に寝かせて、翌日に納棺を希望する場合もありますが、遺体の状況や天候により、翌日までのばすことが可能か適切に判断するようにします。

納棺に先立ち、湯灌、死化粧、遺体衛生保全(エンバーミング)などの遺体処理を施すことがあります。

 

〇湯灌

湯灌は、①昔ながらの湯灌、⓶湯灌業者による湯灌があります。

①昔ながらの湯灌

たらいに水を入れ、それにお湯を注ぎ、遺体を洗浄します。水にお湯を足すという、通常とは逆の方法で温度調節をするので、「逆さ水」と呼ばれますが、最近では病院で死後の処置がなされてくることが一般的になったため、行われることが少なくなりました。

⓶湯灌業者による湯灌

車に浴槽を積み込み、自宅を訪問して、あるいは民間斎場内の湯灌室にて湯灌のサービスを行います。一定の儀礼形式を踏み、布で遺体を隠し、シャワーで遺体を洗浄して、着替え、化粧までを施すものです。

しかし、湯かんを行う人の健康の問題や浴槽の水の廃棄処理の問題など、公衆衛生上の配慮が必要です。また、内容の説明、料金の明示と遺族の同意は必要条件です。

 

〇エンバ―ミング(遺体衛生保全)

エンバ―ミングは、北米では南北戦争(1865年)のときに戦死者を遠隔の故郷に遺体のまま移送する必要性から一挙に普及し、現在では約9割の遺体に施されています。また、北欧・英国でも約7割に施されるなど国際的に一般的な遺体処理の方法です。

体内を固定して殺菌して公衆衛生上安全な状態にすると共に腐敗を止める、顔などを整え修復することなどから、特に事故・災害遺体や解剖後の遺体の修復においては必要性の認識が高まっています。

但し、遺族に対して処置内容を説明して同意書を得ること、尊厳とプライバシーに配慮した処置、必要な訓練課程を修了した技術者による処置が必要とされており、さらに廃液処理においても地方自治体への届出義務があります。

日本ではI F S A(日本遺体衛生保全協会)が自主基準を作成し、エンバ―ミング施設を厚生労働省などへ届け出て行うことを取り決めています。本格的なエンバ―ミングは1988年に開始され、年々増加の傾向にあります。

 

処置の概要は次の通りです。

➊脱衣

全身を確認し、損傷部位がないかを調べます。

❷消毒・洗浄

全身をスプレーで殺菌し、洗浄、洗髪します。

❸口腔などの殺菌

❹髭剃り

❺顔の処置

口を縫合し、閉じて形を整え、目にアイキャップを挿入し、形を整えるなどして顔を整えます。

❻動脈・静脈の剖出と注入管・排出管の連結

皮膚を小切開し、体表近くの動脈と同部位の静脈を剖出。動脈にエンバ―ミングマシーンに繋がる注入管を連結、静脈には排出管を連結します。

❼防腐前液の注入と血液の排出

❽防腐固定液の注入

メチルアルコール、ホルマリンなどからなる防腐固定液を全身をマッサージしながら全身に行き渡らせるように注入します。この薬剤には色素などが配合され遺体の表情に赤みを与えます。

❾体腔への防腐液の注入

体腔の一部を小切開し、内容物を排出し、防腐液を注入します。

❿切開部の縫合

⓫全身の洗浄

⓬修復

修復を必要とする部位の修復をします。

⓭着衣・化粧

遺族の希望する服を着せ、化粧を施します。

 

〇その他の遺体処理

「納棺師」「死化粧」などと言われる遺体処理を専門とする業者が出現しています。病院による死後の処理をより本格的にした処置まで施すことにより、それぞれ評価を高めていますが、作業を行う人たちに公衆衛生上の教育、廃水の処理などが課題となります。

一般的に葬祭業者が行う遺体処理は次のものです。

1. 搬送後の遺体の乱れを修復する。特に血液や体液の漏出に注意し、ゴム手袋を着用する。

2. 軽く顔などの表面を消毒用アルコールで拭く。

3. 着替えを行うか、上から死装束を被せる。

 

〇死装束

かつて故人に着せる死装束は、故人とゆかりのある女性の手によって、糸尻を止めずに縫われました。僧や巡礼者の姿になぞらえ、白木綿に経文を記した、明衣、浄衣とも言われる経帷子(きょうかたびら)です。

経帷子を左前に着せ、三角頭巾を額にあて、手甲をつけ、脚絆を巻いて、白足袋に草履を履かせ、六文銭を入れた頭陀袋を首にかけ、杖を手にし、という西方浄土に旅立つ旅姿をとります。浄土真宗系では冥途の旅を否定しますので、こうした服装はせず、白衣や遺族心づくしの晴れ着を着せます。そして胸に組んだ両手には木製の念珠(数珠)をかけます。最近では、本格的な経帷子の使用が少しずつ減少する傾向にあります。

 

〇納棺

湯かんなどの遺体処理、着替え、納棺は一連の作業として行われることが一般的で、遺族や親しい人にてつだってもらって行います。指輪や装身具は、後から紛失したなどの問題が生じないよう、遺族立ち会いの下で外します。副葬品については、火葬の際に、

1. 爆発のおそれのあるもの

2. 燃えないもの

3. 遺骨を傷つけたり着色するおそれのあるもの は避けることをアドバイスします。

具体的には、ペースメーカー(病院で除去してもらいます)ガスライターなどの爆発のおそれのあるもの、メガネや酒の瓶などのガラス製品、金属でできた釣り竿やゴルフクラブ、金属製の仏具などです。

また、ゴルフボールは炉の中で回って遺骨を傷つけるおそれがあります。

 

〇ドライアイス

エンバ―ミング(遺体衛生保全)した遺体の場合には不要ですが、一般的には腐敗の進行を遅延させるためにドライアイスを入れます。胃や腸の腐敗は早く、腐敗ガスを発生させますから、胸から腹部が中心で、喉元(側頭部)と下腹部がポイントになります。夏場や脳溢血のときなどは量を増やして使用することがあります。ドライアイスは遺族にとって気持ちのいいものではありませんので、目に触れないように処置します。

また、ドライアイスは二酸化炭素を排出するので、搬送時には車内の換気に注意しましょう。また、出棺の際にはドライアイスを除去します。最近の斎場では、冷蔵庫による保管も多くなっています。

 

〇遺体取り扱いの公衆衛生上の配慮

湯灌、納棺などの遺体処理、取り扱いの際には、安全のための対策を軽視してはなりません。素手で作業することが遺体を大切に扱っていることになるという誤った考えは、まだまだ多いようですが、これでは感染するおそれがあります。むしろ衛生上の配慮をきちんとして作業にあたることが専門家として正しいあり方です。

遺体処置にあたっては少なくとも使い捨てマスク、使い捨てビニール手袋は必ず使用します。取り扱い後にはうがいをし、流水で手をよく洗い、消毒用アルコールで消毒します。

 

〇遺体の変化

➊死斑

心臓が停止して血液の流れが止まると、血管内の血液は下のほうに集まります。上になった部分の皮膚は蒼白になり、下になった部分の皮下の静脈には血液が溜まっていきます。 この溜まった血液の色が皮膚を通して見えるのが死斑です。死亡後20~30分で点状の斑点が出現し、死亡後2~3時間で斑点が融合します。死後10時間くらいまでは死斑は固定しませんが、20時間以上経過すると固定します。

❷死後硬直

死後2時間くらい経過すると、筋肉内のグリコーゲンの減少と乳酸の増加に伴ってアデノシン三リン酸(ATP)が減少します。この化学反応のため次第に筋肉が硬化し、関節が動かなくなる現象が死後硬直です。

死後2時間くらいで顎関節に現れ、順次全身の筋肉および、6~8時間で手足の筋肉に明確に認められるようになります。8~10時間くらいまでは、筋肉に力を加えて伸ばすと柔らかくなり、再び硬直を起こします。死後およそ20時間で硬直は最も強くなります。その後は腐敗が強まるため、死後硬直は次第に溶けていきます。

❸腐敗

遺体の腐敗は消化器系である胃や腸から始まります。

死後1時間内外で腸内細菌の増殖が認められます。また、死亡すると胃酸や腸の消化液が胃腸そのものを溶かし、酵素による自家融解を起こします。

腸内細菌の繁殖と胃腸の融解によって腐敗が進行し、腐敗ガスが発生します。この腐敗ガス中に含まれる硫化水素が血液中のヘモグロビンと結合して硫化ヘモグロビンが作られると、腹部が淡青藍色に変色します。この変色が全身に波及し、さらに腐敗ガスが発生すると、全身が膨らんでいきます。腐敗が進行すると、全身は次第に暗赤褐色に変色し、膨らんだ死体は巨人のような外観を呈します。さらに腐敗が進行すると乾燥し、体表は黒色に変色し、体の組織は腐敗汁を出して融解し始め、遂には骨が露出されます。上尾市 葬儀
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枕飾り

神棚には白紙(白い半紙)を貼る習慣が多く見られます。これは神道が穢れを避けることから、死穢が神棚におよばないようにということで行い、忌みがかかっていない他人に頼んでやってもらうこととされ、忌明け後に取り除きます。仏壇の扉は開けておくのが基本とされています。

〇守り刀

遺体の枕元あるいは遺体の上に守り刀、刃物を置く習慣があります。

死者が武士の場合に枕元に刀を置いた名残であるとか、魔除けや死霊に対する鎮魂のため、死者の魂が持ち去られることを防ぐためなど、さまざまな言い伝えがあります。このため遺体の上に置く場合でも刃先を足の方向にするか、直角に置くか、など地方により異なります。浄土真宗系では使用しません。

〇逆さ屏風

古くからの習俗で、遺体の周囲に屏風を上下逆にして立てることです。死の世界は日常の世界とは逆であるとの考えから、上下を逆にすると言われます。屛風をめぐらすのは、遺体を悪霊から守るため、あるいは死霊が周囲の人におよばないように、など土地により相反する言い伝えがあります。

〇枕飾り

遺体の枕元に、上に白布を敷いた小机か、白木の台を用いて荘厳(=お飾り)します。枕飾りのときに置く仏具は、宗教や土地により異なります。一般的には三具足を供えます。香炉を中央に、遺体に向かって右側に燭台を置き、左側に花立てを配します。香炉には線香を1本立て、燭台には白い一本ロウソク、花立てには一本樒を飾ることが一般的です。これらは1本が原則とされます。供え物には、浄水、枕団子(三方に白紙を敷いて6個の団子を載せる)、枕飯(一善飯、故人愛用の茶碗に丸く山盛りにして箸を1本立てる)などがあります。

浄土真宗系の場合には、遺体に供えるものでなく不要とされますし、線香を立てないで適当な長さに折った線香に火をつけ香炉に横に寝かせる、遺体を仏壇の近くに安置し、前卓に白の打敷を敷いて、樒を立て、灯明をあげ、香を焚くなどの荘厳をします。

枕団子や枕飯などの食べ物を供えるのは、諸説ありますが、霊魂が善光寺参りをするための弁当であるなどと言われており、亡くなったらすぐ作るものとされています。また、香やロウソクの火は消さないようにするものとも言われています。

〇四華

四華は四華花、死華、四花、紙花などと書き、シカ、シカバナといわれます。釈尊の死を悲しんで、沙羅双樹林が白変し、その遺体を覆ったとする故事に基づくとされています。

一般的には、白紙を細長く切り、横に細かい刻み目を入れて、細い棒に螺旋状に巻き付け、4本を一つの台に挿して、2台を一組とします。地方により作り方が異なります。

〇忌中札

玄関に「忌中」と書いた札を揚げることもあります。死穢を他におよぼさないように告知し、遺族は死の穢れに染まっているのでこもっていることを知らせることからきたものです。現在では死者の出た家であることを告知するという現実的な意味が強くなりました。

さまざまな形式がありますが、簾を裏返しにして垂らし、その上に「忌中」と書いた紙を貼ることもあります。昔の死穢観念の名残であるとして用いないこともあります。

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遺体と公衆衛生

〇感染症は告知されない

遺体を取り扱う人が注意すべきことは、遺体からの病気の感染です。遺体が危険な感染症を有している場合、病院は業者に対して、感染症の広がることを防ぐという感染症新法の精神から言っても、その真実を告知する責任があると思います。しかし、残念ながら守秘義務を盾にして感染症の事実の告知が行われないケースが多いという現実があります。

また、各種解剖の結果、初めて感染症の保有がわかるケースもあり、この場合、判明した頃には葬儀が済んでいたというのがほとんどです。

したがって遺体を取り扱う業者は、全ての遺体には、危険な感染症があるものという前提で対処する必要があります。

〇死体からの感染がないもの

感染症といっても全てが死体から感染するわけではありません。死体からの

感染が通常ないものには次のものがあります。

肺炎、ハンセン病(らい病)、髄膜炎菌感染症、破傷風、菌血症、

敗血症、A型肝炎、成人性T細胞白血病、狂犬病、クラミジア感染症、

梅毒、ワイル病、真菌感染症

〇感染症新法で指定されている感染症

1999(平成11)年4月「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関す

る法律」が施行され、これにより、これまでの「伝染病予防法」(明治30年制定)

が廃止されました。

この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、

四類感染症、指定感染症及び新感染症を言います。

一類感染症とは、エボラ出血熱、クリミア・コンコ出血熱、ペスト、マール

ブルグ病及びラッサ熱です。

二類感染症とは、急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフ

ス及びパラチフスです。

三類感染症とは、腸管出血性大腸菌感染症です。

以下の一類・二類・三類感染症の患者の場合、原則火葬とされ、24時間以内

の火葬が許されています。

四類感染症とは、「インフルエンザ」、ウイルス性肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、

クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、

麻しん、マラリア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症その他の既に知られ

ている感染症の疾患であって、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものと

して厚生省令で定めるものを言います。

その他、必要に応じて指定感染症あるいは未発見の新感染症が対象とされま

す。

※SARS(新型肺炎)は新感染症に指定されました。

〇取り扱いに注意を要する感染症

①MRSA

「院内感染」と言われる病院内の感染で、しかも濃厚感染の場合に問題とな

ります。体力の弱った手術直後の患者や老齢の長期入院患者に対しては危険

性が高くあります。

健康体であれば感染の危険はないとされていますが、体力の弱っていると

きには注意します。二次感染の危険もあるので、取り扱い後の消毒は心がけ

ましょう。

②C型肝炎

感染経路が多岐にわたっており不明な点が多いので、血液、体液には触れ

ないように注意します。但し、血液、体液以外の通常の接触であれば感染は

ないとされています。

③リケッチア感染症

病原微生物の1つリケッチアは、虱、蚤などの体内にあります。虱や蚤は

死体の体温が低下すると死体から離脱しますから、死体からの感染はありま

せん。しかし寄生していた虱などが着衣や寝具に移動するので、衣服の着脱

や寝具の移動を行うときには注意が必要となります。

以下、注意を要する感染症について述べます。

〇結核

死体内の結核菌は長時間生き続けます。目、鼻、気管支の菌は乾燥し、死体

の向きを変えたとき、衣服の着脱時、納棺時などに体内から放出されます。また、

結核患者が生前使用していた寝具、着衣には多量の結核菌が付着しているので

注意が必要です。

結核死体は高齢者に多く、その特徴は、胸部に変形があり、異常に瘦せており、

リンパ節腫脹(はれもの)があることです。

結核菌は紫外線に弱いので、使用した棺覆い、ストレッチャー、白衣などは

晴天時に30分以上太陽の光にあて、使用した車も窓を開け、風通しをよくしま

す。使用した器具等は消毒剤(ヒビテン、エタノール)で消毒します。

防護方法は、取り扱い時にマスクを着用し、終わった後にうがいをすること

です。

〇B型肝炎

B型肝炎ウイルスは通常の状態で7日以上生存するため、火葬までの間危険

が続きます。最も危険なもので、葬儀従事者は予防としてワクチンを接種する

ことが望まれます。

死体から漏れ出た血液は、体液は、有効消毒剤で拭き取るか、できるかぎり触

れないようにします。

空気感染はないので、ゴム手袋を着用することにより防ぐことが可能です。

ゴム手袋の使用が不可能な場合でも、傷のある手で触れてはいけません。

取り扱い後、流水で手をよく洗い、消毒剤(0.1%ミルトン液に1分以上)で

消毒します。消毒用アルコールも流水と一緒であれば効果がみられます。

〇エイズ

血液、体液の濃厚接触に注意します。通常の接触ならば問題はないとされ、

素手で死体に触れる程度では感染はおこりません。但し、取り扱い時には使い

捨てのゴム手袋を着用し、終わったら必ず捨てます。

エイズは死亡診断書(死体検案書)の死亡欄にはっきりと書かれることがあ

りません。呼吸不全、肺炎、髄膜炎、多臓器不全、結核症、免疫不全などと書

かれることが多いようです。自殺死体にもその動機となったエイズが記載され

ることはないので注意が必要です。

〇遺体の取り扱い方の一般原則

遺体取り扱い者は、遺体がどんな感染症をもっているかわからないとき、それなりの対処をする必要があります。事前にできるだけ病状について医師から情報を得るように努めることは大切なことです。葬祭業者の仕事に対する医療側の理解を求めたいところです。

また実際にはB型肝炎がとりわけ危険ですので、遺体を取り扱う人にはワクチン接種を義務づけるのが望ましいと思います。

全ての遺体は、感染症を保持している可能性があるものとして扱う必要があります。

そのため、

①まず使い捨てマスクと使い捨てゴム手袋を着用します。

⓶手に傷のある場合には取り扱わないか、手袋を二重にします。

③取り扱い後、うがいをし、流水で手を良く洗い、消毒アルコールで消毒します。

④遺体を移送する場合には、使い捨てシーツを使用し、胸を圧迫しないように優しく包んで運ぶように注意します。

感染症法により指定された一類・二類・三類の感染症を保有する場合など危険な遺体については、着衣をそのままに納体袋に入れ、密閉します。医師の指示に従って注意して取り扱います。

遺体は公衆衛生上、必ずしも安全ではありません。できれば白衣を着用するなど、専門家としてきちんと取り扱います。しかし、どのような遺体も尊厳は守らなければなりません。

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戦後の葬儀

昭和20年に第二次世界大戦は日本の敗戦で終結しますが、戦争終結直後の数年は物資不足、インフレで国民生活は混乱しました。しかし、その後の朝鮮戦争の特需景気もあり、日本経済は次第に立ち直り、葬儀も復興し変化していくことになります。

 

戦後の変化の一つは、祭壇や葬具です。昭和28年前後に祭壇、棺、繊維などの葬具製造・販売業者が続々と誕生します。それまでは葬祭業者が自分で製作していましたが、仕入れて使用するようになり、地方特有の葬具は姿を消してバラエティに富んだ商品開発が盛んになっていきます。高度経済成長に合わせるように蛍光灯使用祭壇などが使用されるようになり、昭和35年以降は「葬儀=祭壇」とも言うべき図式が成立するまでになりました。

 

昭和20年代後半は「虚礼廃止」の名の下で自粛、制限が申し合わされ、自治体による公営葬儀も登場しました。貧富の格差も大きかったという事情が背景にあったようですが、   葬祭業者にとっては打撃となることで、各地で反対運動が展開されると共に、これを一つの契機として昭和31年に全日本葬祭業組合連合会が誕生します。発足時の全葬連への加入組合数は13、構成した業者数は851でした。現在葬儀の全国シェアの3割以上を占めるにいたった冠婚葬祭互助会が誕生したのは、戦争終結後間もない混乱期の昭和23年のことです。

横須賀の西村葬儀社が、蓄えもなく満足に結婚式や葬式をあげられない当時の事情を考慮して開始した横須賀市冠婚葬祭互助会がその最初です。当時の普通会員の掛金15円(満額1、800円)で期間は10年でした。

これを昭和28年に日本経済新聞が記事にしたことで、冠婚葬祭互助会が全国各地に誕生します。互助会は月々定額積立で安価に結婚式や葬式ができるということで急激に普及していきます。通産省(当時)の管理下におく「割賦販売法改正」が国会で成立され、前払金の保全を行う互助会保証(株)、全国の互助会を傘下におく社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が発足しました。

 

安価な葬儀ということで、葬儀料金の体系化・明朗化に影響をおよぼし、専門業者の団体である全葬連も各地で標準仕様作りを進めるところとなります。互助会においては、地方色を薄れさせ、葬儀の全国的な標準化、商品のパック化を進めたとの見方もあります。

現在、葬儀ローンや共済制度、あるいは保険を利用した新たな葬儀システムが登場していますが、顧客獲得と葬儀費用の支払いをシステム化し成功した最初のものが互助会でした。

専門業者の集まりである全葬連は、全国の組織化を進めると共に、昭和43年には「葬祭サービス業」を標榜するようになります。都市化や核家族化の進展によって、葬儀運営の主体が、それまでの地域共同体から業者に移行するという変化に対応しようとするものでした。葬具提供業から葬儀運営まで請け負う葬祭サービス業へ、「ハード中心からソフト中心へ」という現在まで続く業態転換となりました。全葬連は昭和50年に通産省認可の全日本葬祭業協同組合連合会へと発展します。(2003年の加入組合数57、所属業者数1562)

 

農協は、葬具貸出を大正末期より始めていましたが、業者依存する葬儀が増える昭和40年以降、葬祭事業を開始する農協が増えてきました。自前の葬祭センターを設けて本格的な事業化を図るようになり、また員外利用(組合員以外の利用)の増加しましたが、各地で既存業者との摩擦も増えていました。

 

戦後になり病院死が増え、葬祭業者と病院との提携が進みます。この頃より企業・団体と契約する営業方法が現れてきます。特に昭和60年以降はこの傾向が強く、構成員の福利厚生を考える生協、企業、団体、労組の意向と合致したこともあったようです。

 

大正時代から昭和の戦前にかけて霊柩車が利用されるようになりましたが、宮型霊柩車の使用が増えていくのは昭和35年以降のことです。交通の近代化、激化が地方にもおよぶところとなり、高度経済成長の波とともに宮型霊柩車が全国に普及しました。それと同時に各地で葬列が姿を消し、告別式にとって代わられるようになりました。

霊柩事業はもともと運輸省(現・国土交通省)陸運局による免許事業でした。社団法人全国霊柩自動車協会(全霊協)が協業化などによる構造改善事業を推進し、免許制から許可制に、さらに2003年には事後届出制となって自由化がいっそう進みました。全霊協は昭和22年に六大都市霊柩自動車連絡協議会を作り、社団法人として認可されている葬儀関連業界最大規模の組織です。

霊柩車は宮型が全盛となっていましたが、平成5年以降はバン型の輸入あるいは国産の洋型霊柩車が増加しています。

 

  • 霊柩車の車種別割合     宮型    洋型    バス型    バン型

1998年  38.4%   5.7%    11.6%    44.3%

2003年  33.2%   12.2%    9.6%    45.0%

 

戦前の昭和15年に55.7%と初めて過半数に達した火葬率は、戦後一気に上昇すると、各地方自治体で火葬施設の新設、統廃合、改善が推進され、昭和35年に63.1%と6割をこえ、昭和55年91.1%、平成13年には99.1%となっています。これは世界一の高水準です。

現在では「火葬場らしくない」近代的施設として無煙化、無臭化、緑地化を進め、地域住民の嫌悪感をなくすため「斎場」などと称するところが多くなりました。昭和47年に日本火葬施設整備管理協会が厚生省の肝入りで発足し、平成7年には、にほん環境斎苑協会が発足しました。阪神大震災で火葬場の一部が稼働停止し大きな影響がでたことから、災害時の対策、周辺火葬場との連携にも取り組んでいます。

 

火葬をめぐる地域習俗の違い、火葬を葬儀のどの時点で行うか、拾骨の方法などは、全国で大きく2つに分かれます。東京や関西その他では葬儀・告別式の後に火葬を行いますが、北海道や東北地方全域、関東北部や北陸、中国地方の一部などは葬儀・告別式に先立って火葬を行います。これは古くからの慣習というよりは、火葬導入にあたって、多くの地域で火を土葬の代わりと考えたのに対し、前記の地域では葬儀の最終局面を墓地への納骨と見る考えから火葬を葬儀・告別式に先行させたものとおもわれます。

また拾骨の方法は、日本列島を能登半島と静岡中部を結ぶラインで分けると、東側と西側一部が全部拾骨、大部分の西側では部分拾骨で、骨壺の大きさが異なります。

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