死の判定と死因調査

人の死は、法律的には医師により死亡診断書または死体検案書が発行されたことをもって確定します。①呼吸停止、②心拍停止、③瞳孔散大・対光反射消失が「死の3徴候」と言われ、医師はこの3点の不可逆的停止によって死の判定を行っています。そして一般に呼吸を停止した時刻あるいは脈がとれなくなった心拍停止の時刻をもって死亡時刻としているようです。

これが「心停止」と言われる死の判定法で、法解釈上も確定しているものです。これに加えて、次項で説明する「脳死」判定のいずれかによって死は判定されます。

 

「不可逆的停止」とあるのは、いったん自発呼吸が停止しても直後に人口呼吸を施すことにより呼吸が再開されたり、強心剤などにより停止した心臓が動き出すこともあり、一時的な機能停止は必ずしも絶対的ではないからです。かつて明治中期に墓埋法で法定伝染病患者の死以外においては死後24時間以内の火葬あるいは土葬を禁じたのは、生者埋葬を避けるためでした。しかし、不可逆的心停止になると身体の各臓器への血液供給が不可能となり、蘇生の可能性はなくなりますので、今では医師の判定をもって死が法律的にも確定しています。

 

ところが3徴候による死の判定は、人口呼吸器(レスピレータ)の出現によって、呼吸と心臓の拍動が維持できるようになるいわゆる「脳死」が現れたのです。脳死に陥ると生命は蘇生することはなく、脳死状態もいつまでも固定化されることはありません。脳死後1日から1週間で心停止に至るとされます。

これに臓器移植の問題がからんでくることにより、脳死をもって人の死とするか、あくまで心停止をもって人の死とするかが問題になりました。しかし、心臓移植以外に回復の望みのない患者への移植が可能となり、海外での心臓移植手術しか方法のなかった患者には道が開かれることになります。これには脳死判定の基準の確立という医学的問題や、死生観の問題の他、臓器売買の可能性はないかなど社会的に検討すべき課題がありました。

 

昔、医療が発達する以前は、息を引き取り、体温が低下し、身体が硬直し、という死のプロセスを判断して死を容認してきました。近代に入り、死は医師が判定するものとなり、その判定基準として死の3徴候が定義化し、そこに科学技術の発達により、もう一つの死「脳死」が加わりました。しかし、死を点として見るのではなく、プロセスを経ることで死を受け入れていくという感情はいまだに大きなものがあります。死の判定は単に医学的な問題だけではなく、社会的な合意が必要な問題なのです。

 

臓器移植法により、脳死者からの臓器移植には、ドナーカードなどによる本人の生前意思の表明に加えて、家族に対する脳死についての充分な説明と同意が必要とされています。脳死判定の基準も定められ、脳死判定を受けるか否かも本人の意思・家族の同意が必要となっています。臓器の売買も禁止され、それを防ぐ策も法律には折り込まれました。

臓器移植法により、人間にとって死は1つであるが、死の判定方法として死の3徴候(いわゆる心臓死)と全脳の不可逆的停止(いわゆる脳死)によるものがある、と解されます。

 

戸籍法第86案第2項に、死亡届には死亡診断書または死亡検案書を添付するよう義務付けています。通常の病死あるいは老衰しなどの自然死であることが明らかな場合には、診察・治療にあたっていた医師が死亡診断書を発行します(医師法第19条)

しかし、突然死の場合や長く医者にかかっていないで死亡した場合は、自然死であっても医師は死亡診断書を発行できません(医師法第20条)警察の検視後、監察医などが検案して死亡検案書を発行します。病死あるいは自然死以外の異状死体、あるいは犯罪の疑いのある死体の場合には、警察に届け、その検視を経て、監察医または警察の嘱託医が検案して死体検案書を発行します。

警察による検視、監察医などによる検案が必要なケースは、まとめると次のようになります。

①病死あるいは自然死であっても生前に診察・治療していた医師がいない場合

②病死あるいは自然死であるかどうか不明な場合

③指定された感染症による死、中毒死などの場合

④溺死、事故死、災害死、自殺などの非犯罪死の場合

⑤殺人、過失致死などの犯罪死あるいはその危惧がある場合

 

死体解剖保存法第8条第1項に、各都道府県知事は、その地域内における伝染病や中毒又は災害により死亡した疑いのある死体や死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き検案や解剖させることができる、とあります。

そして「監察医を置くべき地域を定める政令」により東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市の5地区に監察医を置くことが定められています。

 

まず、監察医あるいは警察の嘱託医などが検案(検死)します。検視される遺体は全死亡者の10~15%あります。これに対して犯罪死のおそれがあるときに行う解剖を、「司法解剖(または法医解剖)」といいます。司法解剖は年間3000~4000件行われています。診察・診断を受けていた病院、医療機関で行う解剖は「病理解剖」と言います。病理解剖には原則として遺族の同意が必要とされます。

 

平成13年の死亡者総数は970,331人でしたが、死因別の順位は次の通りでした。これを推移で見てみましょう。(厚生労働省大臣官房統計情報部「平成13年人口動態統計年報」による)

 

〇死因別順位(2001年)

①悪性新生物     30.1%

②心疾患       14.8%

③脳血管疾患     13.2%

④肺炎         8.5%

⑤不慮の事故      3.9%

⑥自殺         2.9%

⑦老衰        2.2%

➇腎不全       1.8%

⑨肝疾患       1.6%

⑩糖尿病       1.2%

⑪高血圧性疾患    5.9%

⑫結核        2.4%

 

がん(悪性新生物)による死亡者が全体の3分の1近くにまでなっています。

 

葬祭業者が遺体を取り扱えるのは、法律的に死が確定した後、つまり医師が死亡を判定した時点以降です。それを証明するのが医師によって発行される死亡診断書または死体検案書です。それ以前に「遺体」に対して何らかの処置を施すこともできないため、死亡の連絡があった場合には、必ずこのことを確認する必要があります。

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死の判定と死因調査

〇死の判定

人の死は、法律的には医師により死亡診断書または死体検案書が発行されたことをもって確定します。したがって、死亡診断書または死体検案書が死亡届提出の必須条件になります。

では医師はどういう根拠で死亡を判定しているのでしょうか。

伝統的に、①呼吸停止、②心拍停止、③瞳孔散大・対光反射消失が「死の3徴候」と言われ、医師はこの3点の不可逆的停止によって死の判定を行っています。そして一般に呼吸を停止した時刻あるいは脈がとれなくなった心拍停止の時刻をもって死亡時刻としているようです。

これが「心停止」と言われる死の判定法で、法解釈上も確定しているものです。これに加えて、次項で説明する「脳死」判定のいずれかによって死は判定されます。しかし、法律的な死である心停止以降も「生きている」臓器や細胞はあり、個体としての死はゆるやかに進みます。

 

「不可逆的停止」とあるのは、いったん自発呼吸が停止しても直後に人口呼吸を施すことにより呼吸が再開されたり、強心剤などにより停止した心臓が動き出すこともあり、一時的な機能停止は必ずしも絶対的ではないからです。

かつて明治中期に墓埋法で法定伝染病患者の死以外においては死後(死判定後)24時間以内の火葬あるいは土葬を禁じたのは、生者埋葬を避けるためでした。しかし、不可逆的心停止になると身体の各臓器への血液供給が不可能となり、蘇生の可能性はなくなりますので、今では医師の判定をもって死が法律的にも確定しています。

 

〇「脳死」の問題

ところが3徴候による死の判定は、人口呼吸器(レスピレータ)の出現によって、大きく揺らぐことになります。自発呼吸が不可逆的に停止しても、人口呼吸器によって呼吸と心臓の拍動が維持できるようになるいわゆる「脳死」が現れたからです。

人口呼吸器の使用によって、呼吸と心拍の停止より先に、脳のすべての機能が不可逆的に停止する状態が発生するようになりました。これが脳死の状態です。脳死に陥ると生命は蘇生することはなく、脳死状態もいつまでも固定化されることはありません。脳死後1日から1週間で心停止に至るとされます。

そして、これに臓器移植の問題がからんでくることにより、脳死をもって人の死とするか、あくまで心停止をもって人の死とするかが問題になりました。脳死後でも人口呼吸器を備えて心臓を生かしておけば、心臓移植以外に回復の望みのない患者への移植が可能となり、海外での心臓移植手術しか方法のなかった患者には道が開かれることになります。

しかし、これには脳死判定の基準の確立という医学的問題や、死生観の問題の他、臓器売買の可能性はないかなど社会的に検討すべき課題がありました。

昔、医療が発達する以前は、息を引き取り、体温が低下し、身体が硬直し、という死のプロセスを判断して死を容認してきました。近代に入り、死は医師が判定するものとなり、その判定基準として死の3徴候が定義化し、そこに科学技術の発達により、もう一つの死「脳死」が加わりました。しかし、死を点として見るのではなく、プロセスを経ることで死を受け入れていくという感情はいまだに大きなものがあります。死の判定は単に医学的な問題だけではなく、社会的な合意が必要な問題なのです。

脳死は先進国では1%ぐらいあり、交通事故などによる脳挫傷などの頭部外傷、脳出血などの脳血管障害や一時的な心停止による脳の無酸素症などによって発生すると言われています。

臓器移植法により、脳死者からの臓器移植には、ドナーカードなどによる本人の生前意思の表明に加えて、家族に対する脳死についての充分な説明と同意が必要とされています。脳死判定の基準も定められ、脳死判定を受けるか否かも本人の意思・家族の同意が必要となっています。臓器の売買も禁止され、それを防ぐ策も法律には折り込まれました。

臓器移植法により、人間に心臓死と脳死という2つの死が認められたというよりも、その人間にとって死は1つであり、死の判定方法として死の3徴候(いわゆる心臓死)と全脳の不可逆的停止(いわゆる脳死)によるものがある、と解されます。

 

〇死亡診断書と死亡検案書

戸籍法第86案第2項には、死亡届には、やむを得ない事由を除き、死亡診断書または死亡検案書を添付するよう義務付けています。記載用紙も左が死亡届、右が死亡診断書(死体検案書)と組になっています。

通常の病死あるいは老衰しなどの自然死であることが明らかな場合には、診察・治療にあたっていた医師が死亡診断書を発行します(医師法第19条)

突然死の場合や長く医者にかかっていないで死亡した場合には、病死あるいは自然死であっても医師は死亡診断書を発行できません(医師法第20条)警察の検視を経て、監察医または警察の嘱託医が検案して死亡検案書を発行します。病死あるいは自然死であってもその死因が診察・治療していない医師には明らかでないことと、自然死以外の可能性がないか調べるためです。

病死あるいは自然死以外の異状死体、あるいは犯罪の疑いのある死体の場合には、警察に届け、その検視を経て、監察医または警察の嘱託医が検案して死体検案書を発行します。

警察による検視、監察医などによる検案が必要なケースは、まとめると次のようになります。

①病死あるいは自然死であっても生前に診察・治療していた医師がいない場合

②病死あるいは自然死であるかどうか不明な場合

③指定された感染症による死、中毒死などの場合

④溺死、事故死、災害死、自殺などの非犯罪死の場合

⑤殺人、過失致死などの犯罪死あるいはその危惧がある場合

 

〇監察医制度

死体解剖保存法第8条第1項に次のようにあります。

 

政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によっても死因の判明しない場合には解剖させることができる。

 

そして「監察医を置くべき地域を定める政令」により東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市の5地区に監察医を置くことが定められています。

 

〇まず、監察医あるいは警察の嘱託医などが検案(死体を調べて検分するのでこれを検死とも言います。あくまで外見的調査によります)します。検視される遺体は全死亡者の10~15%あります。

これに対して犯罪死のおそれがあるときに行う解剖を、「司法解剖(または法医解剖)」といいます。司法解剖は年間3000~4000件行われています。行政解剖の途中で犯罪死の疑いが出て、司法解剖に移行することもあります。

診察・診断を受けていた病院、医療機関で行う解剖は「病理解剖」と言います。病理解剖には原則として遺族の同意が必要とされます。

 

〇死因

2001(平成13)年の死亡者総数は970,331人でしたが、死因別の順位は次の通りでした。これを推移で見てみましょう。(厚生労働省大臣官房統計情報部「平成13年人口動態統計年報」による)

 

〇死因別順位(2001年)

①悪性新生物     30.1%

②心疾患       14.8%

③脳血管疾患     13.2%

④肺炎         8.5%

⑤不慮の事故      3.9%

⑥自殺         2.9%

⑦老衰        2.2%

➇腎不全       1.8%

⑨肝疾患       1.6%

⑩糖尿病       1.2%

⑪高血圧性疾患    5.9%

⑫結核        2.4%

 

がん(悪性新生物)による死亡者が全体の3分の1近くにまでなっています。

 

〇葬祭業者は法的に死が確定しないと遺体を取り扱えない

葬祭業者が遺体を取り扱えるのは、法律的に死が確定した後、つまり医師が死亡を判定した時点以降です。それを証明するのが医師によって発行される死亡診断書または死体検案書です。それ以前には「遺体」の取り扱いはもちろん、「遺体」に対して何らかの処置を施すこともできません。

死亡の連絡があった場合には、必ずこのことを確認する必要があります。

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